講演情報

[O1-1]当院におけるDa Vinci SPの導入と対象症例の最適化

高橋 秀和, 石川 慧, 朴 正勝, 岩本 和哉, 髙市 翔平, 大橋 朋史, 中原 裕次郎, 村上 剛平, 浅岡 忠史, 竹政 伊知朗, 大森 健 (大阪けいさつ病院消化器外科)
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[はじめに] 当院ではDa Vinci Xiに加え、2025年1月からSPを導入した。導入後の10例は術者Aがconsole surgeonを担当、術者Bが助手を担当し、その後は術者Bがconsole surgeonを担当した。[方法] Da Vinci SPを用いた手術では、臍部に3cmの小開腹をおき、SPアクセスポートキット Largeを留置、エアシールにて気腹した。ポートの追加は行わずに、腸間膜処理は左手のバイポーラーにて、腸管のTransectionは腹腔鏡用のStaplerを用いて行った。11例目からは、郭清操作、腸間膜処理において、ダブルバイポーラー法を導入した。12例目まではチームの成熟度を考慮して、定形的手術のみを対象としていたが、12例以降は複数回手術の既往症例など適応を拡大し、定形化が可能な症例はできるだけXiを用いた教育に回す様にした。BMIが30を超える高度肥満症例、十二指腸穿孔に対する大網充填の既往、小腸浸潤を伴うS状結腸癌、膀胱癌に対する骨盤郭清・回腸導管造設状態の直腸RS癌なども適応とした。なお、腸管のTransectionにポート追加が必要と考えられるRa, Rb直腸癌は適応としていない。Da Vinci SP導入後の24例について後方視的検討を行った。[結果] 24例の男性11例、女性13例、年齢の中央値は75.5歳 (50-80歳) で、腫瘍の主座は盲腸3例、上行結腸6例、横行結腸4例、下行結腸1例、S状結腸8例、直腸S状部2例であった。コンソール時間の中央値は180分 (90-392)で、手術時間の中央値240分 (187-475) 出血量は少量であった。術後在院日数の中央値は8日 (4-19日) で合併症は初期に1例血腫感染がありドレナージを必要とした以外に認めなかった。[考察・結語] 新たな術者育成にはXiが適していると考えられるため、Da Vinci SPの導入に際して、適応の適正化を行った。特に高度癒着症例などは、開腹直後からコンソール操作が可能であり、癒着剥離に優位性が高い。またコストカットや安定した手術操作にはダブルバイポーラー法の修得が必要と考えられる。