講演情報
[O10-3]肥満患者に対する大腸癌ロボット手術
平沼 知加志, 芥田 壮平, 皆川 結明, 中西 彬人, 西 雄介, 林 久志, 藤井 能嗣, 石山 泰寛, 椙田 浩文, 石井 利昌, 平能 康充 (埼玉医科大学国際医療センター消化器外科)
肥満患者に対する大腸癌ロボット支援手術は多くの利点を有し,特に視野の確保や操作性の面で高い有用性が認められている.手術時間の延長や合併症リスク増加,腹部の脂肪により術野の視認性が低下しやすく,厚い腹壁による鉗子操作の制限など手術の難度は総じて高い.ロボット手術では,高解像度の拡大視野と手振れ補正機能,多関節の鉗子による精密な操作が可能であり合併症リスクを低減できる可能性がある.
また,出血点の視認性が向上し正確な止血操作が可能であること,体位の工夫(高度なトレンデレンブルグ位)や気腹圧の調整,ロボットアームによる牽引で術野の確保がしやすい点も利点である.一方で,ポートサイトヘルニアやリモートセンサーのずれといった特有の問題もあり,術中の対処や工夫が求められる.
BMI高値例では,脂肪組織の多さから血管周囲や結腸間膜の操作に難渋することもあるが,ロボット手術では組織の緊張を画像で確認しつつ,把持・剥離操作を安全に進めることが可能となる.術中合併症予防のためには,体位に伴う圧迫部位の除圧や神経障害・褥瘡の回避にも注意が必要であり,麻酔科との連携,ロングポートの準備なども含めた多職種によるチーム対応が不可欠である.
当科で大腸癌に対してロボット手術を施行したBMI30以上の症例は18例だった.男性13例,女性5例,平均年齢59.3歳.腫瘍部位はC/A/T/S/Ra/Rbがそれぞれ1/2/2/2/3/8例だった.手術時間は中央値293分(210-701分),出血量は40.5g(0-580g)で側方リンパ節郭清例や切断術例で手術時間や出血量が多くなっていたが術後合併症は特に認めなかった.
以上のように,肥満患者におけるロボット支援下大腸癌手術は,従来法の課題を克服する手段として非常に有効であり,今後の普及とともにさらなる安全性と手術成績の向上が期待される.
また,出血点の視認性が向上し正確な止血操作が可能であること,体位の工夫(高度なトレンデレンブルグ位)や気腹圧の調整,ロボットアームによる牽引で術野の確保がしやすい点も利点である.一方で,ポートサイトヘルニアやリモートセンサーのずれといった特有の問題もあり,術中の対処や工夫が求められる.
BMI高値例では,脂肪組織の多さから血管周囲や結腸間膜の操作に難渋することもあるが,ロボット手術では組織の緊張を画像で確認しつつ,把持・剥離操作を安全に進めることが可能となる.術中合併症予防のためには,体位に伴う圧迫部位の除圧や神経障害・褥瘡の回避にも注意が必要であり,麻酔科との連携,ロングポートの準備なども含めた多職種によるチーム対応が不可欠である.
当科で大腸癌に対してロボット手術を施行したBMI30以上の症例は18例だった.男性13例,女性5例,平均年齢59.3歳.腫瘍部位はC/A/T/S/Ra/Rbがそれぞれ1/2/2/2/3/8例だった.手術時間は中央値293分(210-701分),出血量は40.5g(0-580g)で側方リンパ節郭清例や切断術例で手術時間や出血量が多くなっていたが術後合併症は特に認めなかった.
以上のように,肥満患者におけるロボット支援下大腸癌手術は,従来法の課題を克服する手段として非常に有効であり,今後の普及とともにさらなる安全性と手術成績の向上が期待される.