講演情報
[O10-7]肥満直腸癌患者に対するロボット支援下低位前方切除術の短期治療成績の検討
寺石 文則1,2, 高橋 立成1, 岡林 弘樹1, 宮宗 秀明1, 大塚 眞哉1, 藤原 俊義2, 稲垣 優1 (1.NHO福山医療センター外科, 2.岡山大学消化器外科)
【目的】ロボット支援下低位前方切除術(robot-assisted laparoscopic low anterior resection: RALAR)は、骨盤内の制限された空間でも安定した視野と精緻な操作性を提供し、特に肥満患者における技術的困難の克服に寄与すると考えられる。本研究では、肥満直腸癌患者に対するRALARの手術手技を供覧し、短期成績を非肥満患者と比較検討し、その有用性と安全性を評価した。
【対象・方法】2020年9月から2025年1月までに直腸癌に対してRALARを施行した76例を対象とし、BMI ≥25 kg/m²を肥満群(27例)、<25 kg/m²を非肥満群(49例)として後方視的に解析した。両群間で患者背景、手術関連指標、術後合併症、在院日数、予後を比較した。
【結果】年齢・性別に有意差はなかったが、ASA分類Class 2以上の割合は肥満群で有意に高かった(81.5% vs. 57.1%、p=0.03)。術前治療施行率、手術時間、コンソール時間、出血量に両群間で有意差は認められなかった。Stapler使用回数が3回以上であった症例は肥満群で多い傾向があった(29.6% vs. 12.2%、p=0.06)。術後合併症の発生率(25.9% vs. 12.2%、p=0.13)、Clavien-Dindo分類grade III以上の合併症(11.1% vs. 8.2%)および縫合不全(11.1% vs. 6.1%)に有意差はなく、術後在院日数も両群とも中央値9日であった。観察期間中央値21か月における3年全生存率は肥満群100%、非肥満群93.4%、3年無再発生存率はそれぞれ89.4%、91.6%で、いずれも有意差を認めなかった。
【結論】肥満直腸癌患者に対するRALARは、非肥満患者と比較しても手術安全性および短期〜中期成績に差がなく、安全かつ有効な低侵襲手術手技として施行可能であることが示唆された。
【対象・方法】2020年9月から2025年1月までに直腸癌に対してRALARを施行した76例を対象とし、BMI ≥25 kg/m²を肥満群(27例)、<25 kg/m²を非肥満群(49例)として後方視的に解析した。両群間で患者背景、手術関連指標、術後合併症、在院日数、予後を比較した。
【結果】年齢・性別に有意差はなかったが、ASA分類Class 2以上の割合は肥満群で有意に高かった(81.5% vs. 57.1%、p=0.03)。術前治療施行率、手術時間、コンソール時間、出血量に両群間で有意差は認められなかった。Stapler使用回数が3回以上であった症例は肥満群で多い傾向があった(29.6% vs. 12.2%、p=0.06)。術後合併症の発生率(25.9% vs. 12.2%、p=0.13)、Clavien-Dindo分類grade III以上の合併症(11.1% vs. 8.2%)および縫合不全(11.1% vs. 6.1%)に有意差はなく、術後在院日数も両群とも中央値9日であった。観察期間中央値21か月における3年全生存率は肥満群100%、非肥満群93.4%、3年無再発生存率はそれぞれ89.4%、91.6%で、いずれも有意差を認めなかった。
【結論】肥満直腸癌患者に対するRALARは、非肥満患者と比較しても手術安全性および短期〜中期成績に差がなく、安全かつ有効な低侵襲手術手技として施行可能であることが示唆された。