講演情報
[O12-1]当科で局所進行直腸癌に対し施行したTNTの短期・中期成績
岩谷 昭, 山崎 俊幸, 亀山 仁史, 窪田 晃, 延廣 征典, 佐藤 幸平 (新潟市民病院消化器外科)
【背景】近年、局所進行直腸癌に対するTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)が欧米では標準治療の1つとなっている。当科でもTNTを2021年3月より導入したが、2024年度版ガイドラインで日常臨床として行わないことが弱く推奨され、現在は原則行っていない。【目的】局所進行直腸癌に対し施行したTNTの短期・中期成績を検討する。【方法】対象は2021年3月から、2024年4月にTNTを開始した下部直腸癌21例。全例で長期放射線化学療法後に全身化学療法(CAPOX)を追加する、Consolidation Chemotherapyを行った。【結果】症例は男性14例、女性7例、年齢中央値62歳。cStageはIIa/IIIb/IIIc : 1/4/16例であった。全例で放射線化学療法は完遂でき、その後の全身化学療法は中央値で4コース行った。手術は16例に施行、アプローチは開腹/腹腔鏡/ロボット:1/1/14例。術式はLAR/sLAR/pISR/APR : 2/5/2/7例。術後入院期間は中央値で12.5日、Clavien-Dindo分類Grade3以上の合併症は3例に認めた。手術症例でpathological complete response(pCR)は1例あり、clinical complete response またはnear complete responseと判断しNon operative management(NOM)を選択した症例は5例だった。NOM症例は今のところ再増大を認めず、pCRとNOMの合計は6例(28.6%)だった。観察期間は中央値で35ヶ月、局所再発は2例、遠隔転移は5例に認めた(重複あり)。【結語】TNTの多くは安全に施行できたが、術後出血で再手術を要した症例を経験した。再発症例も認め、今後も長期成績の検討が必要となる。TNTにより、手術及び永久人工肛門を回避できる症例も経験した。