講演情報

[O12-6]cT4b結腸癌に対するNACの治療成績の検討

西村 潤也, 井関 康仁, 福岡 達成, 西居 孝文, 坂元 寿美礼, 金城 あやか, 丸尾 晃司, 谷 直樹, 瀬良 知央, 江口 真平, 田嶋 哲三, 濱野 玄弥, 長谷川 毅, 村田 哲洋, 櫻井 克宣, 高台 真太郎, 久保 尚士, 清水 貞利, 西口 幸雄 (大阪市立総合医療センター消化器外科)
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【はじめに】切除可能結腸癌に対する術前化学療法(以下NACと略)のエビデンスはまだ少なく、治療法および有効性が確立されていない。現在本邦では、JCOG2006試験「切除可能な局所進行結腸癌に対する術前mFOLFOX6療法と術前FOLFOXIRI療法のランダム化第II相試験」が行われている。当院での進行結腸癌に対するNACの治療成績に関して検討した。【対象と方法】2014年から2021年にかけて当院で結腸癌手術を行った症例のうち、JCOG2006の対象症例(①cT4bかつcN+②cT3-T4aかつcN2/3)に該当する103例を対象とした。NAC施行群(以下、NAC群)8例と手術先行群(以下、OP群)95例の2群を後方視的に比較検討した。【結果】術前臨床診断に関して、NAC群は全例がcT4b症例であったのに対して、OP群はcT4b症例が43例(45%)、cT3-T4a症例が52例(55%)であった。NACレジメンに関してはXELOX療法が4例、mFOLFOX6+Panitumumab療法が3例、mFOLFOX6療法が1例に施行されていた。NAC施行回数の中央値は5(4-9)コースで、NAC終了時から手術までの期間の中央値は27(18-39)日間であった。NACの病理学的治療効果はGrade 1a:1b:2=2:2:4例であった。手術成績に関して、R0達成率はNAC群で88%、OP群で91%と有意差は認めなかった(p=0.57)。合併症発生率はNAC群で13%、OP群で45%とNAC群で少ない傾向が見られ(p=0.13)、術後在院日数中央値はNAC群が8.5日、OP群が12日であった(p=0.36)。術後補助化学療法施行率はNAC群で75%、OP群で58%と差は見られず(p=0.47)、3年無再発生存率はNAC群で88%、OP群で71%とNAC群でやや良い傾向が見られた(p=0.36)【結語】短期成績に関しては、NACを行うことにより術後合併症が減少し、在院日数が短縮化される傾向が見られた。長期成績に関しては、NACを行っても術後補助化学療法の施行率が低下することもなく、予後が改善する可能性が示唆された。今後さらなる症例の蓄積が期待される。