講演情報

[O13-2]Parks分類で括約筋貫通型に分類されるⅡL型痔瘻症例の検討

竹中 雄也, 渡部 晃大, 内海 昌子, 久能 英法, 三宅 祐一朗, 小野 朋ニ郎, 相馬 大人, 安田 潤, 齋藤 徹, 根津 理一郎, 弓場 健義 (大阪中央病院外科)
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本邦で広く用いられる隅越分類は原発巣の位置に基づいた分類であり瘻管の存在部位については曖昧であることから,内外括約筋間に原発巣を有するⅡL型痔瘻には多くのバリエーションが存在する.一方で,欧米で用いられるParks分類では内外括約筋間に原発巣を有する痔瘻を瘻管の走行に応じてIntersphincteric fistulaとTranssphincteric fistula(括約筋貫通型)とに分類している.
一般にⅡL型痔瘻は内外括約筋間に生じた原発巣から瘻管が筋間を下降し,皮下外括約筋を貫いて肛門周囲の皮下に至るものと考えるが,実地臨床においては原発巣から通常の低位筋間痔瘻より深い部位で外括約筋貫いて瘻管が走行する痔瘻が存在する.このようなParks分類で括約筋貫通型に分類される痔瘻を深いⅡL型痔瘻と定義した.
当院では痔瘻根治術の際,seton法,Lay open法,括約筋温存法を症例に応じてそれぞれの術者が選択している.今回,2021年1月から2024年12月の間に当院で単一の術者が痔瘻根治術を施行し深いⅡL痔瘻と診断した41症例について臨床的所見及び手術所見について診療録を参照して後方視的に検討した.
41症例のうち男性29例で女性12例,年齢は40歳(中央値:15-77)であった.原発口は前側12例,後側15例,左側8例,右側6例に認めた.30例に括約筋温存法,6例にseton法,2例にLay open法を施行した.括約筋温存法を行なった症例のうち2例で原発口閉鎖部が再開通したため外来診療中にseton法に移行したが再手術が必要となった症例はなかった.治癒までの日数は,括約筋温存法で78日(中央値:61-164),seton法で286日(中央値:129-700),Lay open法で152日(中央値:79-224)であった.