講演情報
[O13-3]複雑痔瘻における経肛門超音波検査の有用性の検討‐MRI検査と比較して‐
森本 幸治1, 小泉 岐博2, 田村 周三1, 久保田 和1, 菅又 奈々1, 金澤 周4, 左雨 元樹3, 大塚 新一1, 久保田 至1 (1.西新井大腸肛門科, 2.北千住大腸肛門クリニック, 3.新越谷肛門胃腸クリニック, 4.草加西口大腸肛門クリニック)
【目的】当院では、外来診療において肛門周囲膿瘍形成および痔瘻を疑う患者に対し、ほぼ全例経肛門超音波検査(以下肛門超音波)を施行している.また複雑痔瘻および複雑な瘻管の進展を伴う痔瘻に対しては、骨盤造影MRI検査(以下MRI)を追加で実施している.今回、複雑痔瘻に対する肛門超音波検査が、病変の描出に有効か、MRIの所見と比較して検討行った.
【方法と対象】ラジアル式肛門超音波で、前立腺および尿道を12時方向に描出する方向を保ったまま、徐々にプローベを抜いて内括約筋および肛門両側方から後方にV字型に描出される恥骨直腸筋を確認し、さらに内括約筋と浅外括約筋、皮下外括約筋の描出を意識して、ゆっくりとプローベを抜き肛門管下端まで観察を行う.深部からほぼ一定間隔(3-5mm程度)で連続した静止像を保存する。MRIは肛門管の軸に垂直な軸位断による撮影を行う.
2023年1月から2024年12月に坐骨直腸窩痔瘻の診断で、根治手術を施行した症例で、術前に肛門超音波およびMRIを施行した9例を対象とし、retrospectiveに検討した.
【結果】男性9名、年齢は46.6歳(平均値:36‐73歳).ⅢB5例、ⅢU4例(隅越分類)であった.指診のみで診断が困難であった2例で、肛門超音波により坐骨直腸窩痔瘻の診断を得た.9例全例で、恥骨直腸筋が描出される深さで原発巣形成を示唆する低エコー領域を描出した.9例中7例でMRIと同様の診断を得た.一方、手術での診断と一致した症例は5例で,一致しなかった4例のうち3例は肛門超音波でⅢUと診断したが、手術ではⅢBと診断された.
【結語】痔瘻の診断において、指診は重要であるが、肛門超音波は外来で、簡便かつ低侵襲に施行できる検査として、診断の補助として非常に有用である.しかし肛門管周囲の解剖学的な理解がなければ正確な描出およびその認識は困難である.今回、解剖を意識した一定の方法で、肛門超音波を行うことで、坐骨直腸窩痔瘻の原発巣を良好に描出でき、診断に有効であった.肛門超音波の診断が、実際の手術診断とやや乖離があったことは、原発巣に比べ肛門管から離れた部位へ進展する瘻管の描出は難しいことが考えられる.
【方法と対象】ラジアル式肛門超音波で、前立腺および尿道を12時方向に描出する方向を保ったまま、徐々にプローベを抜いて内括約筋および肛門両側方から後方にV字型に描出される恥骨直腸筋を確認し、さらに内括約筋と浅外括約筋、皮下外括約筋の描出を意識して、ゆっくりとプローベを抜き肛門管下端まで観察を行う.深部からほぼ一定間隔(3-5mm程度)で連続した静止像を保存する。MRIは肛門管の軸に垂直な軸位断による撮影を行う.
2023年1月から2024年12月に坐骨直腸窩痔瘻の診断で、根治手術を施行した症例で、術前に肛門超音波およびMRIを施行した9例を対象とし、retrospectiveに検討した.
【結果】男性9名、年齢は46.6歳(平均値:36‐73歳).ⅢB5例、ⅢU4例(隅越分類)であった.指診のみで診断が困難であった2例で、肛門超音波により坐骨直腸窩痔瘻の診断を得た.9例全例で、恥骨直腸筋が描出される深さで原発巣形成を示唆する低エコー領域を描出した.9例中7例でMRIと同様の診断を得た.一方、手術での診断と一致した症例は5例で,一致しなかった4例のうち3例は肛門超音波でⅢUと診断したが、手術ではⅢBと診断された.
【結語】痔瘻の診断において、指診は重要であるが、肛門超音波は外来で、簡便かつ低侵襲に施行できる検査として、診断の補助として非常に有用である.しかし肛門管周囲の解剖学的な理解がなければ正確な描出およびその認識は困難である.今回、解剖を意識した一定の方法で、肛門超音波を行うことで、坐骨直腸窩痔瘻の原発巣を良好に描出でき、診断に有効であった.肛門超音波の診断が、実際の手術診断とやや乖離があったことは、原発巣に比べ肛門管から離れた部位へ進展する瘻管の描出は難しいことが考えられる.