講演情報

[O14-1]Stage IV大腸癌に対するR0戦略と手術成績および術後再発における治療成績

鈴木 卓弥1, 山川 雄士1, 加藤 潤紀1, 浅井 宏之1, 上原 崇平1, 加藤 瑛1, 牛込 創1, 髙橋 広城2, 瀧口 修司1 (1.名古屋市立大学消化器外科, 2.名古屋市立大学付属西部医療センター)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景】Stage IV大腸癌においては、最終的なR0切除の可否が予後に大きく影響するが、標準的な治療戦略は確立されていない。当院では、遠隔転移が切除可能と判断される症例に対しては、原則として切除を優先する方針であるが、多臓器転移や高度なリンパ節転移を有する症例には術前化学療法を行い、R0切除を目指している。切除の順序については原発巣を優先するが、増大により切除困難となるリスクが高いと判断された場合には、転移巣を先行して切除している。一方で、R0切除後も再発の頻度は高く、再度の外科的介入が必要となるケースも少なくない。
【目的】術前にR0切除が可能と判断されたStage IV大腸癌症例の治療成績を明らかにするとともに、R0切除後の再発状況および再治療の実態を検討する。
【対象と方法】2020年1月~2024年12月にStage IV大腸癌に対し原発巣切除を行った109例のうち、術前にR0切除可能と判断された55例を対象とし、短期・中期成績について後方視的に解析した。
【結果】対象症例の年齢中央値72歳(38-89)、男性/女性=35/20例、原発部位は結腸右側/結腸左側/直腸=13/18/24例、術前通過障害を13例、穿孔を3例に認めた。術前化学療法あり/なし=11/44例、開腹/腹腔鏡/ロボット=5/19/31例、pT1/2/3/4a/4b=2/24/15/14、pN0/1/2/3 = 17/24/10/4、術後合併症(Clavien-Dindo II以上)は8例に認めた。転移巣切除を優先して実施した症例は2例(いずれも肝切除)認めた。原発巣切除後に新規病変の出現や転移巣増大によりR0切除できなかった症例は9例(16%)認めた。生存期間中央値はR0切除できた症例で34ヶ月、R0切除できなかった症例で9ヶ月だった。(観察期間中央値30.5ヶ月)。R0切除できた症例の3年無再発生存率39.5%であった。再発を認めた症例の内9例(36%)は追加R0切除可能であり、同症例の生存期間中央値は46ヶ月であった。再発のリスク因子を多変量解析すると、術前穿孔(p=0.038)、術前肝転移H2以上が(p=0.049)独立した因子であった。
【結語】Stage IV大腸癌ではR0切除することにより予後の改善を見込め、R0切除後の再発でも再度R0切除することでさらなる生存期間の延長が期待できる。