講演情報
[O15-5]同時性肝転移を有する大腸癌に対するR0切除およびその後の再発に対する再R0切除の意義について
川副 徹郎, 安藤 幸滋, 播磨 朋哉, 南原 翔, 津田 康雄, 中ノ子 智徳, 沖 英次, 吉住 朋晴 (九州大学大学院消化器・総合外科)
【背景】大腸癌ガイドラインでは、切除可能な肝転移を有する大腸癌に対する治療方針として原発巣切除+転移巣切除が推奨されている。当科では、初診時に切除できない症例でも化学療法を行い腫瘍が縮小すれば、可能な限りR0を目指してconversion手術を行っている。さらに、R0切除後に再発を認めた場合には、再R0切除を目指して治療を行なっている。
【目的】当科における同時性肝転移を有する大腸癌の治療成績を後方視的に検討し、R0切除およびその後の再発に対する再R0切除の有効性を明らかにする。
【対象】2013年1月から2023年3月までに当科で診療を開始した同時性肝転移を伴う大腸癌135例。
【結果】年齢中央値65歳、男性76例(56%)、右側/左側24%/76%。治療開始時に転移が肝臓に限局しており、かつ肝転移がH1である症例が33例(25%)でこれらの症例をR0可能と判断した。そのうち31例(94%)で実際にR0切除が施行された。初診時R0切除可能と判断されなかった102例中、31例 (30%)で化学療法後にR0手術が実施されていた。全生存期間に対する単変量、多変量解析においてR0切除は独立した予後良好因子であった(HR=0.14[0.070-0.27], p<0.01)。R0が得られた62例のうち、50例(81%)で術後に再発が認められ、そのうち28例(56%)で2回目のR0切除が達成された。2回目のR0切除が達成された症例は、再発後にR0切除が実施できなかった症例と比較して、全生存期間の延長が得られていた(HR: 0.32 (0.13-0.83), p = 0.02)。2回目のR0切除が達成できた症例は、初診時に肝限局転移の症例が多かった(p=0.04)。
【結論】同時性肝転移を有する大腸癌に対して、外科的切除ができた症例では良好な予後が得られることを確認した。術後再発に対する2回目のR0切除は肝限局転移の症例で多く行われており、2回目のR0切除が達成できた場合には再発後にR0が達成できなかった症例と比較して良好な予後が得られていた。
【目的】当科における同時性肝転移を有する大腸癌の治療成績を後方視的に検討し、R0切除およびその後の再発に対する再R0切除の有効性を明らかにする。
【対象】2013年1月から2023年3月までに当科で診療を開始した同時性肝転移を伴う大腸癌135例。
【結果】年齢中央値65歳、男性76例(56%)、右側/左側24%/76%。治療開始時に転移が肝臓に限局しており、かつ肝転移がH1である症例が33例(25%)でこれらの症例をR0可能と判断した。そのうち31例(94%)で実際にR0切除が施行された。初診時R0切除可能と判断されなかった102例中、31例 (30%)で化学療法後にR0手術が実施されていた。全生存期間に対する単変量、多変量解析においてR0切除は独立した予後良好因子であった(HR=0.14[0.070-0.27], p<0.01)。R0が得られた62例のうち、50例(81%)で術後に再発が認められ、そのうち28例(56%)で2回目のR0切除が達成された。2回目のR0切除が達成された症例は、再発後にR0切除が実施できなかった症例と比較して、全生存期間の延長が得られていた(HR: 0.32 (0.13-0.83), p = 0.02)。2回目のR0切除が達成できた症例は、初診時に肝限局転移の症例が多かった(p=0.04)。
【結論】同時性肝転移を有する大腸癌に対して、外科的切除ができた症例では良好な予後が得られることを確認した。術後再発に対する2回目のR0切除は肝限局転移の症例で多く行われており、2回目のR0切除が達成できた場合には再発後にR0が達成できなかった症例と比較して良好な予後が得られていた。