講演情報
[O15-6]大腸癌術後合併症が長期予後に及ぼす影響と介入の可能性について
中村 友哉, 西村 公男, 金光 瑛彰, 長田 博光, 小森 淳二, 髙田 泰次 (JCHO大和郡山病院外科)
【背景と目的】大腸癌治療において術後合併症は患者のQOLを低下させるのみならず長期予後を悪化させる因子としても知られているが、合併症が起こった後どうすればその予後に対するインパクトを軽減できるかは不明である。そこで大腸癌術後合併症が長期予後に及ぼす影響について検討し、さらに合併症後の介入の余地について検討する。
【対象と方法】2015年1月~2022年12月に当院で根治手術を行ったStage I-III大腸癌患者267例を対象にClavien-Dindo分類grade2以上(CD2以上)の術後合併症発生の危険因子を多重ロジスティック回帰分析で同定し,さらに術後合併症と長期予後との関連を単変量解析(log-rank検定)および多変量解析(Cox比例ハザードモデル)で検討した。さらに合併症症例のうちでの予後因子について検討した。
【結果】CD2以上の術後合併症は267例中97例(36%)に認めた.CD2以上の術後合併症の危険因子について既知の危険因子を用いて多変量解析を行ったところ手術時間293分以上(オッズ比3.16, p<0.001)、開腹手術(オッズ比2.18,p=0.030)、lymphocyte-C-reactive protein ratio (LCR) 6190以下(オッズ比1.90, p=0.039)が同定された.術後合併症と全生存期間(OS)との関係について全コホートで検討すると,合併症症例は合併症がなかった症例に比べ有意に予後不良であったが(p<0.001),Stageごとに検討するとStage IIおよびIIIで有意に予後不良であった(p=0.005, p=0.012). 既知の予後因子を用いて多変量解析をするとCD2は独立した予後因子であった(ハザード比2.19, p=0.020).合併症の有無で術後補助化学療法の施行率には差はなかった(p=0.684)。合併症症例のみで検討を進めたところ術後最高CRP値(CRP max)が12.1mg/dl以上群が独立した予後不良因子であった(ハザード比2.95,p=0.038)。
【結論】大腸癌術後合併症は長期予後を悪化させる。合併症の予防と合併症後の早期介入が重要である。
【対象と方法】2015年1月~2022年12月に当院で根治手術を行ったStage I-III大腸癌患者267例を対象にClavien-Dindo分類grade2以上(CD2以上)の術後合併症発生の危険因子を多重ロジスティック回帰分析で同定し,さらに術後合併症と長期予後との関連を単変量解析(log-rank検定)および多変量解析(Cox比例ハザードモデル)で検討した。さらに合併症症例のうちでの予後因子について検討した。
【結果】CD2以上の術後合併症は267例中97例(36%)に認めた.CD2以上の術後合併症の危険因子について既知の危険因子を用いて多変量解析を行ったところ手術時間293分以上(オッズ比3.16, p<0.001)、開腹手術(オッズ比2.18,p=0.030)、lymphocyte-C-reactive protein ratio (LCR) 6190以下(オッズ比1.90, p=0.039)が同定された.術後合併症と全生存期間(OS)との関係について全コホートで検討すると,合併症症例は合併症がなかった症例に比べ有意に予後不良であったが(p<0.001),Stageごとに検討するとStage IIおよびIIIで有意に予後不良であった(p=0.005, p=0.012). 既知の予後因子を用いて多変量解析をするとCD2は独立した予後因子であった(ハザード比2.19, p=0.020).合併症の有無で術後補助化学療法の施行率には差はなかった(p=0.684)。合併症症例のみで検討を進めたところ術後最高CRP値(CRP max)が12.1mg/dl以上群が独立した予後不良因子であった(ハザード比2.95,p=0.038)。
【結論】大腸癌術後合併症は長期予後を悪化させる。合併症の予防と合併症後の早期介入が重要である。