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[O15-7]大腸癌術後5年以上無再発経過後の初回再発例の特徴

早田 浩明, 外岡 亨, 成島 一夫, 天海 博之, 平澤 壮一朗 (千葉県がんセンター食道胃腸外科)
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緒言:大腸癌術後サーベイランスは大腸癌治療GLによると根治度Aは術後5年を目安とし、再発リスクのあるものはそれ以上のサーベイランスをとあるが、具体的には記載がない。
目的:初回再発が術後5年以上の大腸癌症例のリスク要因を明らかにする。
対象:1988年から2017年末までに当科にて手術をした大腸腺癌症例3549例。
方法:再発までの期間を5年以上(A群)と未満(B群)に分けて原発巣主座、病理因子、補助療法、再発形式などを解析した。
結果:術後追跡期間は最長8976日、中央値2118日(5年9ヶ月)、平均2030日。全再発例は612例で5年以上経過してからの再発例A群は15例で全体の0.4%、再発例の2.5%。男女比はA群10:5で5年未満再発のB群は385:212と有意差なし。原発巣局在は右:左:直腸でB群141:156:300に対しA群2:1:12と5年以上経過した初回再発例は直腸が明らかに多かった。再発形式ではB群では全体の34%が肝再発、肺26%、局所11%に対しA群は局所が40%;6例、肺も27%;4例と多く、肝は20%の3例と少なかった。初回再発の時期はA群最短1902日、最長3226日で中央値2238日であった。病期ではB群ではStage Ⅲb-c、Ⅳaが多く見られるがA群ではStage Ⅰ:2例、Ⅱa:4例、Ⅱb:3例、Ⅲb:5例と比較的進んでいない病期での再発例があった。補助療法の有無では術前術後を含め補助療法なしがA群に7例(46%)とB群の35%より多かったが有意差はなかった。組織型には両群間に特徴的な違いはなかった。
考察:5年以上経過してからの初回再発例は直腸癌に多く、5年未満の再発例とは大きく異なる結果であった。直腸癌再発例が多いため局所再発や肺転移再発が多い特徴があり、また病期がそれほど進んでいない直腸癌で長期間経過してからの再発があり、補助療法の有無にあまり左右されないデータであった。
結語:5年以上経過しての再発例を検討した結果、直腸癌に多く、直腸癌術後のサーベイランスは5年間での終了は危険性があることが示唆された。