講演情報
[O17-3]潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下大腸全摘術における安全な吻合を目指した犠牲腸管を伴う回腸嚢腸間膜伸長法
真鍋 達也, 武居 晋, 安藤 陽平, 堀田 千恵子, 能城 浩和 (佐賀大学医学部一般・消化器外科)
【背景と目的】回腸嚢肛門吻合(IPAA)の合併症である縫合不全や狭窄・瘻孔・出血などは、吻合部の緊張と血流が大きく影響するとされる。我々は腹腔鏡下大腸全摘(TPC)・IPAAにおいて、犠牲腸管(5㎝前後)をおくことにより吻合部位の設定と回結腸血管(ICP)の自由度が高くなり、血流良好で緊張のない吻合に有利である可能性について報告した(Tech Coloproctol 2025)。今回潰瘍性大腸炎症例を対象として、その有用性を検討した。
【方法】2009年から2024年までに潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下TPC・IPAAは52例であった。犠牲腸管を伴う回腸嚢作成を行った20例(A群)、回腸末端で切除して回腸嚢を作成した32例(B群)と短期成績について比較した。
【結果】背景因子を比較すると、年齢は有意にA群で高かったが(中央値52.5歳/38歳;p=0.023)、性別・BMI・PNI・術前ステロイド使用・ASA-PSに差を認めなかった。手術因子では、吻合法(IAA/IACA)・分割手術(1期/2期)・血管切離の追加割合・手術時間・出血量に有意差を認めなかった。ICP切離を要したのは、B群では3例、A群では見られなかった。術後合併症についてはClavien-Dindou分類Grade2・3の頻度に差を認めなかった。吻合部合併症はB群で4例(術中未到達1例、離開1例、狭窄1例、出血1例)に認めたが、A群では見られなかった(p=0.043)。術後在院期間に差を認めなかった。
【考察と結語】潰瘍性大腸炎に対するIPAAにおいて犠牲腸管を作成することで回結腸血管茎の伸長と適切な吻合部位が設定可能となり、血流良好で緊張のない吻合に有利である可能性がある。
【方法】2009年から2024年までに潰瘍性大腸炎に対する腹腔鏡下TPC・IPAAは52例であった。犠牲腸管を伴う回腸嚢作成を行った20例(A群)、回腸末端で切除して回腸嚢を作成した32例(B群)と短期成績について比較した。
【結果】背景因子を比較すると、年齢は有意にA群で高かったが(中央値52.5歳/38歳;p=0.023)、性別・BMI・PNI・術前ステロイド使用・ASA-PSに差を認めなかった。手術因子では、吻合法(IAA/IACA)・分割手術(1期/2期)・血管切離の追加割合・手術時間・出血量に有意差を認めなかった。ICP切離を要したのは、B群では3例、A群では見られなかった。術後合併症についてはClavien-Dindou分類Grade2・3の頻度に差を認めなかった。吻合部合併症はB群で4例(術中未到達1例、離開1例、狭窄1例、出血1例)に認めたが、A群では見られなかった(p=0.043)。術後在院期間に差を認めなかった。
【考察と結語】潰瘍性大腸炎に対するIPAAにおいて犠牲腸管を作成することで回結腸血管茎の伸長と適切な吻合部位が設定可能となり、血流良好で緊張のない吻合に有利である可能性がある。