講演情報

[O17-6]潰瘍性大腸炎(UC)に合併したcolitis associated cancer(CAC)にたいする腹腔鏡下/ロボット支援下大腸全摘術(TPC)

小島 大望, 和田 英雄, 上床 崇吾, 赤﨑 卓之, 濱畑 圭佑, 林 貴臣, 後藤 佳登, 宮坂 義浩, 渡部 雅人 (福岡大学筑紫病院外科)
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【背景】UC長期罹患例の増加にともない、手術症例に占めるCACの割合が増加している。サーベイランス内視鏡検査によりdysplasiaの術前診断を得て、TPCを施行するが、切除標本の組織病理学的検索の結果、進行癌と診断される症例も珍しくない。その理由としてはCACが①多様な肉眼像を呈するため存在診断や範囲診断が難しい、②典型的な癌性潰瘍を形成しにくい、③粘膜内癌巣は低異型度の高分化腺癌であっても癌発育先端部では低分化腺癌、印環細胞癌、粘液癌の像を呈することなどがあげられる。【目的】当院ではUCのTPCにより得られた切除標本は全割されFFPEで保存される。その検討によりCACに対する外科治療は、①癌病巣は多発傾向があるためTPC、②Stapled ileal pouch anal anastomosis ③Rb病変は肛門温存術にこだわらない、④全例術前肛門管生検を行うことを基本方針とし、手術アプローチは2018年より腹腔鏡下、2025年1月よりロボット支援下手術を導入した。2018年~現在までに17例の大腸癌合併症例にたいし腹腔鏡下/ロボット支援下TPCを経験したので手術手技の実際をビデオでしめす。【手技の要点】TPCは直腸超低位前方切除(vLAR)、左右結腸半側切除から構成されるが、当科の腹腔鏡下手術手技は同一5トロカールで施行可能である。肛門管周囲剥離は腹腔鏡下とくにロボット支援下手術の恩恵が大きい。炎症により剥離層を同定しづらい場合は骨盤内臓神経と骨盤底筋膜をガイドにすすめ、直腸右側後壁より肛門括約筋間にアプローチする。横紋筋側で小血管を凝固し肛門括約筋間を剥離する。直腸切離は横紋筋をかみこまないよう注意する。回結腸動静脈を温存し、回腸切離は腹腔内操作で行う。J型回腸嚢が再建後に仙骨に沿って座するよう回腸同士を漿膜筋層縫合する。回腸嚢先端より60mmリニアステイプラーを挿入し3回のファイアで15㎝の回腸嚢を作成し、挿入孔にアンビルヘッドを装着する。肛門縁より1.5㎝の肛門管内DST吻合となる。術後の画像診断所見、組織別の治療成績あわせてしめす。