講演情報
[O19-1]当院における局所進行下部直腸癌に対するTotal Neoadjuvant Therapyの治療成績
河野 貴博1, 井原 啓佑1, 中村 隆俊1, 泉 陽光1, 上野 綸1, 髙柳 雅1, 根本 鉄太郎1, 蜂谷 裕之1, 石塚 満1, 江島 泰正2, 水島 恒和1 (1.獨協医科大学下部消化管外科, 2.獨協医科大学放射線治療センター)
【緒言】局所進行下部直腸癌治療は,局所再発率の低下と遠隔転移の抑制が重要な課題である. 従来の術前化学放射線療法では, 局所制御の改善を認めるものの,遠隔転移の抑制や予後改善効果が示されていない. Total Neoadjuvant Therapy (TNT)は, 化学放射線療法に加え, 全身化学療法を術前治療に組み込んだ治療戦略である.
【目的】局所進行下部直腸癌に対し, 当院で施行しているTNTの安全性及び短期治療成績を明らかにする.
【対象と方法】2021年4月から2025年4月までにTNTを施行した37例を対象とした.対象症例は,下部直腸癌cStageII/IIIの症例.放射線化学療法としてS-1 80mg/日 (day1-5, day7-11)+RT30Gy (3Gy×10Fr)を施行後,Consolidation ChemotherapyとしてSOX (S-1:80mg/body, LOHP130mg/body)療法を2コース投与した.本治療の安全性および短期治療成績を,有害事象,合併症の有無, 治療効果によって評価した.
【結果】年齢の中央値は70 (32-87)歳. 男性30例, 女性7例であった.照射終了日から手術までの日数の中央値は10.0(4.3-13.7)週であった. CTCAE Grade3以上の有害事象は, 下痢が3例のみであった. Clavien-Dindo分類でGrade IIIa以上の術後合併症は1例 (2.7%)腹腔内膿瘍を認めた.9例(24.3%)で病理学的完全奏効(pathological complete response: pCR)が得られた.
【考察】従来の放射線化学療法のpCRは15-20%とされており, 本法の症例数は未だ少ないものの, 遜色ない結果であった. Grade3以上の有害事象は下痢3例のみであり, 短期治療成績としては比較的低侵襲と考えられた.
【結語】当院で施行されたTNTは, 安全に施行可能であり, 下部進行直腸癌に対する有効な治療戦略となりうる可能性が示唆された.
【目的】局所進行下部直腸癌に対し, 当院で施行しているTNTの安全性及び短期治療成績を明らかにする.
【対象と方法】2021年4月から2025年4月までにTNTを施行した37例を対象とした.対象症例は,下部直腸癌cStageII/IIIの症例.放射線化学療法としてS-1 80mg/日 (day1-5, day7-11)+RT30Gy (3Gy×10Fr)を施行後,Consolidation ChemotherapyとしてSOX (S-1:80mg/body, LOHP130mg/body)療法を2コース投与した.本治療の安全性および短期治療成績を,有害事象,合併症の有無, 治療効果によって評価した.
【結果】年齢の中央値は70 (32-87)歳. 男性30例, 女性7例であった.照射終了日から手術までの日数の中央値は10.0(4.3-13.7)週であった. CTCAE Grade3以上の有害事象は, 下痢が3例のみであった. Clavien-Dindo分類でGrade IIIa以上の術後合併症は1例 (2.7%)腹腔内膿瘍を認めた.9例(24.3%)で病理学的完全奏効(pathological complete response: pCR)が得られた.
【考察】従来の放射線化学療法のpCRは15-20%とされており, 本法の症例数は未だ少ないものの, 遜色ない結果であった. Grade3以上の有害事象は下痢3例のみであり, 短期治療成績としては比較的低侵襲と考えられた.
【結語】当院で施行されたTNTは, 安全に施行可能であり, 下部進行直腸癌に対する有効な治療戦略となりうる可能性が示唆された.