講演情報
[O19-5]局所進行直腸癌に対するTotal neoadjuvant therapy後とupfront surgeryの手術短期成績の比較
諏訪 雄亮1, 小澤 真由美1, 森 康一1, 田 鐘寛2, 諏訪 宏和3, 佐藤 渉1, 薮下 泰宏1, 沼田 正勝1, 佐藤 勉1, 渡邉 純2,4, 遠藤 格2 (1.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 2.横浜市立大学医学部消化器・腫瘍外科, 3.横須賀共済病院外科, 4.関西医科大学下部消化管外科)
【背景】局所進行直腸癌に対するTotal neoadjuvant therapy (TNT)は本邦でも特定の施設では広まってきているが、手術時の組織の線維化や浸出液の多さから、upfront surgeryより手術難易度が高く、短期成績の悪化も危惧されているが比較したデータは不足している。【目的】局所進行直腸癌のうちTNT治療群とupfront surgery群に分けて手術の短期成績を比較した。
【方法】 2020年1月から2024年12月にT3以深の局所進行直腸癌に対して術前MRIでCRM≥1mm確保困難と判断しTNT後に手術を行った30例とupfront surgeryを行った173例を対象に性別、BMI、腫瘍局在 (上部/下部)、cStage、側方リンパ節転移有無を調節因子としpropensity score matchingを行いマッチングした各群27例を比較検討した。
【結果】TNT群 vs Upfront surgery群は、男性/女性 23/4 vs 24/3(p=0.695)、年齢中央値 59 vs 74歳 (p<0.001)、BMI 25.7 vs 22.3 (p=0.842)、ASA-PS I/II/III 5/19/3 vs 1/23/3 (p=0.345) であった。腫瘍の局在はRa/Rb 3/24 vs 5/22 (p=0.444)、cT3/cT4 24/3 vs 24/3 (p=1.0), cStage(II/III): 6/21 vs 6/21 (p=1.0)。TNTの種類はInduction chemotherapy (INCT)+Long-course chemo-radiation therapy (LCCRT) 5例、Consolidation chemotherapy (CNCT)+ LCCRT 4例、Short-course radiation therapy (SRT)+ CNCT 18例であった。術式は開腹/腹腔鏡/taTME/Robot 0/1/7/19 vs 1/10/7/9 (p=0.008)、括約筋温存/非温存 25/2 vs 21/6 (p=0.125)、側方郭清を10/9例 (37.0% vs 33.3%, p=0.776)で施行していた。手術時間中央値は368 vs 349分(p=0.729)、出血量 68ml vs 112ml (p=0.253)とそれぞれ有意差は認めなかった。Clavien-Dindo分類≥Grade3の術後合併症は0 vs 3例 (腸閉塞2例、縫合不全1例) (p=0.235)、術後在院日数中央値 12 vs 15日 (p=0.012)であった。リンパ節郭清個数中央値は13 vs 24個 (p<0.001)、pCRM≤1mmは2 vs 4例 (7.4% vs 14.8%, p=0.669) であった。
【結語】 局所進行直腸癌に対するTNTはupfront surgeryと比較して手術時間の延長や術後合併症の増加はなく安全に施行可能であった。今後は長期予後を集積する必要がある。
【方法】 2020年1月から2024年12月にT3以深の局所進行直腸癌に対して術前MRIでCRM≥1mm確保困難と判断しTNT後に手術を行った30例とupfront surgeryを行った173例を対象に性別、BMI、腫瘍局在 (上部/下部)、cStage、側方リンパ節転移有無を調節因子としpropensity score matchingを行いマッチングした各群27例を比較検討した。
【結果】TNT群 vs Upfront surgery群は、男性/女性 23/4 vs 24/3(p=0.695)、年齢中央値 59 vs 74歳 (p<0.001)、BMI 25.7 vs 22.3 (p=0.842)、ASA-PS I/II/III 5/19/3 vs 1/23/3 (p=0.345) であった。腫瘍の局在はRa/Rb 3/24 vs 5/22 (p=0.444)、cT3/cT4 24/3 vs 24/3 (p=1.0), cStage(II/III): 6/21 vs 6/21 (p=1.0)。TNTの種類はInduction chemotherapy (INCT)+Long-course chemo-radiation therapy (LCCRT) 5例、Consolidation chemotherapy (CNCT)+ LCCRT 4例、Short-course radiation therapy (SRT)+ CNCT 18例であった。術式は開腹/腹腔鏡/taTME/Robot 0/1/7/19 vs 1/10/7/9 (p=0.008)、括約筋温存/非温存 25/2 vs 21/6 (p=0.125)、側方郭清を10/9例 (37.0% vs 33.3%, p=0.776)で施行していた。手術時間中央値は368 vs 349分(p=0.729)、出血量 68ml vs 112ml (p=0.253)とそれぞれ有意差は認めなかった。Clavien-Dindo分類≥Grade3の術後合併症は0 vs 3例 (腸閉塞2例、縫合不全1例) (p=0.235)、術後在院日数中央値 12 vs 15日 (p=0.012)であった。リンパ節郭清個数中央値は13 vs 24個 (p<0.001)、pCRM≤1mmは2 vs 4例 (7.4% vs 14.8%, p=0.669) であった。
【結語】 局所進行直腸癌に対するTNTはupfront surgeryと比較して手術時間の延長や術後合併症の増加はなく安全に施行可能であった。今後は長期予後を集積する必要がある。