講演情報
[O19-7]局所進行直腸癌に対する化学放射線療法(CRT)と化学放射線療法化学療法逐次施行(TNT)の比較
市川 伸樹, 吉田 雅, 大野 陽介, 柴田 賢吾, 今泉 健, 佐野 峻司, 武冨 紹信 (北海道大学消化器外科Ⅰ)
背景:局所進行直腸癌の局所再発を低減させる治療戦略として術前化学放射線療法が選択される。当科では2023年以降、化学放射線療法化学療法逐次施行(TNT)を取り入れた。
目的:局所進行直腸癌に対して術前療法を行った症例における、化学放射線療法(CRT)と TNTの短期成績を比較する。
方法:2017年から2025年4月に腹腔鏡手術を行ったステージII、IIIの下部直腸癌51例において、術前CRT施行28例とTNT施行23例の治療成績を比較した。TNTはCapeOXによるconsolidationを基本とした。
結果: CRT群、TNT群で年齢中央値はともに64歳で、それぞれ男性24女性4例 vs男性16女性7例)。BMIは23.2 vs23.6で、ASA3度以上の症例は両群とも認めなかった。Ra/Rb(10/18 vs4/19例)、肛門縁からの距離6.5cm vs4.0cm(p=0.03)、初診時ステージ(II/IIIが13/15 vs10/12)であった。TNTではcCRを2例(9%)に認めた。手術アプローチはTNTでロボット支援下手術が多かったが(39%vs95%, p<0.01)、術式(前方切除/ハルトマン/APR/ ISR/TP/大腸全摘がそれぞれ13/1/10/1/2/1例vs12/1/7/1/0/0例)に差を認めなかった。D3郭清、diverting stoma造設は全例で、側方郭清(21%vs29%)、その他臓器合併切除(18% vs10%)の割合に差を認めなかった。手術成績では手術時間(323vs377min)、出血量(64vs32ml)に差を認めず、開腹移行率(ともに0例)、Clavien-Dindo分類III以上の術後合併症(ともに1例ずつ、3.6% vs4.8%)、術後在院日数(17.5 vs17日)に差を認めなかった。 病理DM0(ともに100%)、RM1(1vs1例)であった。腫瘍径(29.5vs21mm)、ypStageの分布に差を認めず(pCR/0/I/II/III/IVが5/3/7/8/3/2例 vs4/1/4/6/5/1例)でcCR+pCRは18% vs26%(p=0.57)であった。
結語: TNTとCRTと同等の周術期短期成績が得られた。今後、TNTのCR率増加における有用性に期待したい。
目的:局所進行直腸癌に対して術前療法を行った症例における、化学放射線療法(CRT)と TNTの短期成績を比較する。
方法:2017年から2025年4月に腹腔鏡手術を行ったステージII、IIIの下部直腸癌51例において、術前CRT施行28例とTNT施行23例の治療成績を比較した。TNTはCapeOXによるconsolidationを基本とした。
結果: CRT群、TNT群で年齢中央値はともに64歳で、それぞれ男性24女性4例 vs男性16女性7例)。BMIは23.2 vs23.6で、ASA3度以上の症例は両群とも認めなかった。Ra/Rb(10/18 vs4/19例)、肛門縁からの距離6.5cm vs4.0cm(p=0.03)、初診時ステージ(II/IIIが13/15 vs10/12)であった。TNTではcCRを2例(9%)に認めた。手術アプローチはTNTでロボット支援下手術が多かったが(39%vs95%, p<0.01)、術式(前方切除/ハルトマン/APR/ ISR/TP/大腸全摘がそれぞれ13/1/10/1/2/1例vs12/1/7/1/0/0例)に差を認めなかった。D3郭清、diverting stoma造設は全例で、側方郭清(21%vs29%)、その他臓器合併切除(18% vs10%)の割合に差を認めなかった。手術成績では手術時間(323vs377min)、出血量(64vs32ml)に差を認めず、開腹移行率(ともに0例)、Clavien-Dindo分類III以上の術後合併症(ともに1例ずつ、3.6% vs4.8%)、術後在院日数(17.5 vs17日)に差を認めなかった。 病理DM0(ともに100%)、RM1(1vs1例)であった。腫瘍径(29.5vs21mm)、ypStageの分布に差を認めず(pCR/0/I/II/III/IVが5/3/7/8/3/2例 vs4/1/4/6/5/1例)でcCR+pCRは18% vs26%(p=0.57)であった。
結語: TNTとCRTと同等の周術期短期成績が得られた。今後、TNTのCR率増加における有用性に期待したい。