講演情報
[O21-3]全周性痔核に対する分離結紮術施行時の狭窄予防と術後対応
野村 英明1, 小島 修司2, 加川 隆三郎3 (1.フラワーロードのむら肛門クリニック, 2.こじま肛門外科, 3.洛和会音羽病院)
【はじめに】
1837年に本間棗軒が「瘍科秘録」において腸痔(痔核)に対する結紮術として「一条の絹糸を二条にして痔核の根部口側より刺入、その絹糸で痔核を左右にそれぞれ分離して結紮する」と著述している。
1998年に増田芳夫らが痔核結紮術に若干の工夫を加え、外来治療にも応用できる分離結紮術として発表した。
2014年に発行された肛門疾患診療ガイドラインでも、分離結紮術はIII、IV度の内外痔核に有効な術式、とされている。
当院では2ヶ所以上の痔核を処理した症例の9割近くに分離結紮術を用いている。
全周性痔核に対しても分離結紮術を主体とした手術をおこなっているが、主痔核間の膜様に伸展した皮膚部分は切除しすぎると術後狭窄の可能性が高くなり、残しすぎると腫脹や疼痛、皮垂の遺残の原因となるためその匙加減が悩ましい。
【術式・および術後管理】
手術は仙骨硬膜外麻酔下の砕石位でおこない、全例を日帰り手術でおこなっている。
基本的には前後方向を分離結紮術、左右をALTA併用療法のL+E3・Aでおこなうことが多いが、脱出の大きな全周性痔核に対しては前後・左右すべてを分離結紮術で処理している。
その際主痔核間の膜様に伸展した皮膚部分に切開を入れて剥離をおこなうが、膜様部の肛門側は切開せずにテント状にして残しておき、分離結紮施行時に余剰皮膚のみを結紮することにより術後早期の腫脹や疼痛・及び晩期の狭窄や皮垂を予防している。
また術後4週前後の診察時に狭窄が予見された症例には患者自身による肛門のストレッチングで対応している。
【考察】
古典的結紮療法は簡便、かつ術後の創がやわらかいのが利点である。その利点を最大限に利用して、全周性の痔核の手術時にも肛門管内に一次創を設けない様にすることにより術後狭窄等の合併症の可能性を低減することが本術式の要旨である。
また術後晩期の狭窄が予見された場合の対応についても述べさせていただく。
当演題は非識別加工情報を用いた研究である
1837年に本間棗軒が「瘍科秘録」において腸痔(痔核)に対する結紮術として「一条の絹糸を二条にして痔核の根部口側より刺入、その絹糸で痔核を左右にそれぞれ分離して結紮する」と著述している。
1998年に増田芳夫らが痔核結紮術に若干の工夫を加え、外来治療にも応用できる分離結紮術として発表した。
2014年に発行された肛門疾患診療ガイドラインでも、分離結紮術はIII、IV度の内外痔核に有効な術式、とされている。
当院では2ヶ所以上の痔核を処理した症例の9割近くに分離結紮術を用いている。
全周性痔核に対しても分離結紮術を主体とした手術をおこなっているが、主痔核間の膜様に伸展した皮膚部分は切除しすぎると術後狭窄の可能性が高くなり、残しすぎると腫脹や疼痛、皮垂の遺残の原因となるためその匙加減が悩ましい。
【術式・および術後管理】
手術は仙骨硬膜外麻酔下の砕石位でおこない、全例を日帰り手術でおこなっている。
基本的には前後方向を分離結紮術、左右をALTA併用療法のL+E3・Aでおこなうことが多いが、脱出の大きな全周性痔核に対しては前後・左右すべてを分離結紮術で処理している。
その際主痔核間の膜様に伸展した皮膚部分に切開を入れて剥離をおこなうが、膜様部の肛門側は切開せずにテント状にして残しておき、分離結紮施行時に余剰皮膚のみを結紮することにより術後早期の腫脹や疼痛・及び晩期の狭窄や皮垂を予防している。
また術後4週前後の診察時に狭窄が予見された症例には患者自身による肛門のストレッチングで対応している。
【考察】
古典的結紮療法は簡便、かつ術後の創がやわらかいのが利点である。その利点を最大限に利用して、全周性の痔核の手術時にも肛門管内に一次創を設けない様にすることにより術後狭窄等の合併症の可能性を低減することが本術式の要旨である。
また術後晩期の狭窄が予見された場合の対応についても述べさせていただく。
当演題は非識別加工情報を用いた研究である