講演情報
[O22-1]膿瘍形成性虫垂炎の膿瘍腔と上行結腸とに交通を生じた症例に対して, 回腸人工肛門造設後に腹腔鏡下でinterval appendectomyを施行し得た1例
森本 雄貴, 尾嶋 英紀, 髙木 里英子, 山本 真優, 渡辺 修洋, 山本 晃, 横江 毅, 毛利 靖彦 (三重県立総合医療センター消化器・一般外科)
【はじめに】
膿瘍成形性虫垂炎のために, 膿瘍腔と消化管に交通を生じることは比較的稀な病態である. 今回, 膿瘍形成性虫垂炎による膿瘍腔と上行結腸とに交通を生じた症例に対して, 経皮的膿瘍ドレナージ術と腹腔鏡下回腸人工肛門造設術を施行して炎症反応を低下させた後, 腹腔鏡下虫垂切除術と回腸人工肛門造設術を施行し得た1例を経験したため報告する.
【症例】
20歳男性. 来院の7日前より腹痛と発熱を来し, 市販の胃腸薬内服で改善しないため, 近医を受診し急性腹症と診断され, 当院へ紹介された.
来院時体温は39度. 白血球112×10²/, CRP14.8㎎/dl. CTでは上行結腸の著明な壁肥厚と結腸周囲の膿瘍形成を認めたが, 明らかな虫垂の腫大を認めなかった.
入院治療開始後,超音波ガイド下に経皮的膿瘍穿刺を行い, ドレーンを留置した. ドレーン造影では膿瘍腔から盲腸は造影されず, 上行結腸から造影されたため, 膿瘍腔と上行結腸が交通していると診断した. 入院後14日目, 感染制御目的に腹腔鏡下に回腸末端から30㎝口側に双口式の人工肛門を造設した. 腹腔鏡下の所見では, 上行結腸周囲に強固な癒着を認めた.
人工肛門造設後3か月後のCT検査では, 膿瘍は消失し, 注腸検査では上行結腸に憩室や腹腔内との交通はなく, 上行結腸背側に虫垂を描出した. 下部消化管検査では上行結腸, 虫垂孔に特異な所見がないことを確認し, 膿瘍形成性虫垂炎による膿瘍と上行結腸の交通後と診断した. 審査腹腔鏡を施行し, 上行結腸背側の虫垂の癒着は上行結腸から剥離可能であることを確認して, 腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,回腸人工肛門閉鎖術も併施した. 術後経過は順調で術後8日目に軽快退院した.
【結論】
膿瘍形成性虫垂炎の膿瘍腔と上行結腸が交通する症例に対して, 回腸人工肛門造設後に, 一期的に腹腔鏡下虫垂切除術と回腸人工肛門閉鎖術を施行し得た症例を経験した.
膿瘍と大腸が交通しても, 回腸人工肛門造設術を施行し, 感染制御することで, 大腸や回腸末端を温存して虫垂を切除し得た.
膿瘍成形性虫垂炎のために, 膿瘍腔と消化管に交通を生じることは比較的稀な病態である. 今回, 膿瘍形成性虫垂炎による膿瘍腔と上行結腸とに交通を生じた症例に対して, 経皮的膿瘍ドレナージ術と腹腔鏡下回腸人工肛門造設術を施行して炎症反応を低下させた後, 腹腔鏡下虫垂切除術と回腸人工肛門造設術を施行し得た1例を経験したため報告する.
【症例】
20歳男性. 来院の7日前より腹痛と発熱を来し, 市販の胃腸薬内服で改善しないため, 近医を受診し急性腹症と診断され, 当院へ紹介された.
来院時体温は39度. 白血球112×10²/, CRP14.8㎎/dl. CTでは上行結腸の著明な壁肥厚と結腸周囲の膿瘍形成を認めたが, 明らかな虫垂の腫大を認めなかった.
入院治療開始後,超音波ガイド下に経皮的膿瘍穿刺を行い, ドレーンを留置した. ドレーン造影では膿瘍腔から盲腸は造影されず, 上行結腸から造影されたため, 膿瘍腔と上行結腸が交通していると診断した. 入院後14日目, 感染制御目的に腹腔鏡下に回腸末端から30㎝口側に双口式の人工肛門を造設した. 腹腔鏡下の所見では, 上行結腸周囲に強固な癒着を認めた.
人工肛門造設後3か月後のCT検査では, 膿瘍は消失し, 注腸検査では上行結腸に憩室や腹腔内との交通はなく, 上行結腸背側に虫垂を描出した. 下部消化管検査では上行結腸, 虫垂孔に特異な所見がないことを確認し, 膿瘍形成性虫垂炎による膿瘍と上行結腸の交通後と診断した. 審査腹腔鏡を施行し, 上行結腸背側の虫垂の癒着は上行結腸から剥離可能であることを確認して, 腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,回腸人工肛門閉鎖術も併施した. 術後経過は順調で術後8日目に軽快退院した.
【結論】
膿瘍形成性虫垂炎の膿瘍腔と上行結腸が交通する症例に対して, 回腸人工肛門造設後に, 一期的に腹腔鏡下虫垂切除術と回腸人工肛門閉鎖術を施行し得た症例を経験した.
膿瘍と大腸が交通しても, 回腸人工肛門造設術を施行し, 感染制御することで, 大腸や回腸末端を温存して虫垂を切除し得た.