講演情報
[O22-4]成人腸回転異常に合併した結腸憩室間膜内穿通の症例
中島 隆善, 松木 豪志, 藤川 正隆, 長野 心太, 古出 隆大, 一瀬 規子, 岩崎 寿光, 岡本 亮, 生田 真一, 仲本 嘉彦, 相原 司, 栁 秀憲, 山中 若樹 (医療法人信和会明和病院外科)
【はじめに】腸回転異常症は胎生期腸管の発生異常で、腸管が正常な回転を成さずに異常停止したものと定義されているが成人例はまれであり、他の手術の際に偶然に発見される場合が多い。一方、結腸間膜内の憩室形成は大腸憩室の全体の数%で発生するが、間膜内へ穿通をきたす場合は少ない。保存的治療が奏功する場合もあるが腹膜炎所見を有する症例の多くは手術が要求される。成人腸回転異常に合併した結腸憩室間膜内穿通の1例を経験したので報告する。
【症例】症例は40歳代、男性。腹痛および発熱を主訴に当院を紹介受診した。血液検査で炎症反応の上昇を認め、CTでは小腸が右腹腔内に、結腸が左腹腔内に存在し、腸回転異常が疑われた。上行結腸と思しき結腸に壁肥厚および周囲脂肪織濃度の上昇を認め、憩室炎の診断で保存的治療を行うも所見の改善が乏しく、CTで憩室炎の部位で膿瘍形成が疑われたため、外科転科のうえ緊急手術を施行した。腹腔鏡下結腸右半切除術を施行、術中所見でTreitz靭帯の形成は認められず、盲腸から上行結腸は腹壁に固定されていなかった。上行結腸とその間膜に強い炎症性変化を認め、同部位を含めて切除した。摘出標本にて上行結腸に憩室炎および結腸間膜内に連続する膿瘍形成を認め、結腸憩室間膜内穿通と診断した。
【結語】腸回転異常に合併した結腸憩室間膜内穿通は極めてまれな病態であり、臨床解剖学的に示唆に富む症例と考えられたため文献的考察を加えて報告する。
【症例】症例は40歳代、男性。腹痛および発熱を主訴に当院を紹介受診した。血液検査で炎症反応の上昇を認め、CTでは小腸が右腹腔内に、結腸が左腹腔内に存在し、腸回転異常が疑われた。上行結腸と思しき結腸に壁肥厚および周囲脂肪織濃度の上昇を認め、憩室炎の診断で保存的治療を行うも所見の改善が乏しく、CTで憩室炎の部位で膿瘍形成が疑われたため、外科転科のうえ緊急手術を施行した。腹腔鏡下結腸右半切除術を施行、術中所見でTreitz靭帯の形成は認められず、盲腸から上行結腸は腹壁に固定されていなかった。上行結腸とその間膜に強い炎症性変化を認め、同部位を含めて切除した。摘出標本にて上行結腸に憩室炎および結腸間膜内に連続する膿瘍形成を認め、結腸憩室間膜内穿通と診断した。
【結語】腸回転異常に合併した結腸憩室間膜内穿通は極めてまれな病態であり、臨床解剖学的に示唆に富む症例と考えられたため文献的考察を加えて報告する。