講演情報

[O25-7]大腸癌術後補助化学療法としてのカペシタビン5日投薬2日休薬投与法の検討

中村 有貴1, 横山 省三2, 松田 健司1, 岩本 博光1, 三谷 泰之1, 水本 有紀1, 堀 雄哉1, 玉置 佑麻1, 阪中 俊博1, 竹本 典生1, 田宮 雅人1, 兵 貴彦1, 上田 勝也1, 下村 和輝1, 岩橋 誠3, 瀧藤 克也4, 中森 幹人5, 下川 敏雄6, 川井 学1 (1.和歌山県立医科大学第2外科, 2.南和歌山医療センター外科, 3.和歌山労災病院外科, 4.済生会有田病院外科, 5.大阪南医療センター外科, 6.和歌山県立医科大学臨床研究センター)
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【緒言】
大腸癌根治切除術後にHigh risk StageⅡまたはStageⅢと診断された症例に対して、術後補助化学療法としてカペシタビン単剤療法を実施する場合には、通常2週投与1週休薬(2投1休)の3週を1コースとした24週の継続投与が必要であるが、副作用のため完遂できない症例にしばしば遭遇する。しかし、カペシタビンの投与方法を変更することで、副作用を軽減し、完遂率の向上を図れるのではないかと考え、今回我々は大腸癌術後補助化学療法としてのカペシタビンの5日投与2日休薬投与法(5投2休法)が従来の2投1休法に比べて治療完遂率を改善するか検討を行うこととした。
【対象】
High risk StageⅡまたはStageⅢの大腸癌根治切除術後にカペシタビン単剤による術後補助化学療法を行う20歳以上80歳以下の症例を対象として、試験治療群(5投2休法8コース)と、通常投与群(2投1休法8コース)に無作為に割り付け、主要評価項目として、治療完遂率、副次的評価項目として、相対用量強度、投与前・投与中における患者QOLの変化率、有害事象発現割合、無再発生存期間、全生存期間について比較検討した。
【結果】
38例が登録され、33例の研究対象者のうち、15例が試験治療群、18例が通常投与群に割り付けられた。試験治療群の年齢中央値は71歳(49-80歳)、PS0が14人、結腸13例、直腸2例であり、通常投与群の年齢中央値は65歳(39-78歳)、PS0が17人、結腸12例、直腸6例であった。治療完遂率は試験治療群73.3%(11/15例)、通常投与群55.6%(10/18例)と試験治療群で高かったが、有意差は認めなかった(p=0.469)。また、副次的評価項目である相対用量強度は、試験治療群平均82.20、通常投与群平均79.38であり、有意差は認めなかった(p=0.733)。有害事象発現割合、QOL変化率・変化量に関しても、両群で有意差は認めなかった。無再発生存期間、全生存期間は再発が全体で1例のみで、死亡亡例は無かったため、ともに統計解析が出来なかった。
【結語】
治療完遂率は試験治療群で高かったが、有意差は認めなかった。相対用量強度やQOLに関しても、両群間で有意差は認めなかった。