講演情報
[O26-1]Superior mesenteric artery rotationを伴う右側結腸癌の臨床的特徴と低侵襲手術の治療成績
坂井 義博, 笠井 俊輔, 塩見 明生, 眞部 祥一, 田中 佑典, 小嶋 忠浩, 井垣 尊弘, 森 千浩, 髙島 裕助, 石黒 哲史, 谷田部 悠介, 辻尾 元, 横山 希生人, 八尾 健太, 小林 尚輝, 山本 祥馬 (静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
【背景】右側結腸癌(虫垂、盲腸、上行結腸)手術におけるD3郭清では、回結腸根リンパ節の郭清が重要である。回結腸根リンパ節領域においてSuperior mesenteric artery(SMA)がSuperior mesenteric vein(SMV)腹側を走行するSMA rotation(SMAR)症例が存在し、SMAR症例ではリンパ節郭清操作に伴い予期せぬ血管損傷をきたす可能性があり注意が必要である。
【目的】SMARを伴う右側結腸癌の頻度、臨床所見、低侵襲手術の治療成績および手術手技について検討すること。
【方法】2018年1月から2024年12月までにD3郭清を伴う低侵襲手術を施行した右側結腸癌532例から開腹移行症例9例を除いた523例を対象とした。手術所見で回結腸根リンパ節領域においてSMAがSMV腹側を走行する症例をSMARと定義した。SMARの有無による患者背景、手術短期成績を後ろ向きに比較検討し、SMAR症例の臨床所見について検討した。
【結果】対象症例523例の内、SMAR症例は10例(1.9%)であった。患者背景では、SMAR有群はSMAR無群と比較し、腫瘍占居部位が有意に盲腸に多かった(p=0.049)。性別、BMI、腫瘍径、cT/N/M因子は両群間で有意差を認めなかった。手術短期成績では、SMAR有群で手術時間が有意に長く(183分 vs. 231分、p=0.004)、出血量が有意に多かった(0ml vs. 27ml、p=0.012)。術後合併症は両群間で有意差を認めなかった。SMAR症例の臨床所見では、6例が盲腸癌であり、その腫瘍径の中央値は6.5㎝(6.0 – 10.0㎝)であった。また、8例は術前CTにおいて診断可能であった。術前CTで診断不能であった2例は肥満症例であり、整腸不足の可能性が示唆された。
【手術手技】当科では右側結腸癌におけるD3郭清はSMV左縁をリンパ節郭清の左縁をしている。SMARを伴う右側結腸癌に対するD3郭清では、SMV前面に至る前にSMAが走行することを念頭に置き、慎重な剥離操作でSMA周囲の神経を認識することが重要となる。SMAR症例の手術動画を供覧する。
【結語】SMARを伴う右側結腸癌の臨床的特徴および低侵襲手術の治療成績について検討した。術前・術中のSMARの認識は安全に手術を施行する上で重要である。
【目的】SMARを伴う右側結腸癌の頻度、臨床所見、低侵襲手術の治療成績および手術手技について検討すること。
【方法】2018年1月から2024年12月までにD3郭清を伴う低侵襲手術を施行した右側結腸癌532例から開腹移行症例9例を除いた523例を対象とした。手術所見で回結腸根リンパ節領域においてSMAがSMV腹側を走行する症例をSMARと定義した。SMARの有無による患者背景、手術短期成績を後ろ向きに比較検討し、SMAR症例の臨床所見について検討した。
【結果】対象症例523例の内、SMAR症例は10例(1.9%)であった。患者背景では、SMAR有群はSMAR無群と比較し、腫瘍占居部位が有意に盲腸に多かった(p=0.049)。性別、BMI、腫瘍径、cT/N/M因子は両群間で有意差を認めなかった。手術短期成績では、SMAR有群で手術時間が有意に長く(183分 vs. 231分、p=0.004)、出血量が有意に多かった(0ml vs. 27ml、p=0.012)。術後合併症は両群間で有意差を認めなかった。SMAR症例の臨床所見では、6例が盲腸癌であり、その腫瘍径の中央値は6.5㎝(6.0 – 10.0㎝)であった。また、8例は術前CTにおいて診断可能であった。術前CTで診断不能であった2例は肥満症例であり、整腸不足の可能性が示唆された。
【手術手技】当科では右側結腸癌におけるD3郭清はSMV左縁をリンパ節郭清の左縁をしている。SMARを伴う右側結腸癌に対するD3郭清では、SMV前面に至る前にSMAが走行することを念頭に置き、慎重な剥離操作でSMA周囲の神経を認識することが重要となる。SMAR症例の手術動画を供覧する。
【結語】SMARを伴う右側結腸癌の臨床的特徴および低侵襲手術の治療成績について検討した。術前・術中のSMARの認識は安全に手術を施行する上で重要である。