講演情報

[O26-7]当科における直腸脱に対する腹腔鏡下直腸固定術症例の検討

里見 大介, 榊原 舞, 小倉 皓一郎, 土岐 朋子 (国立病院機構千葉医療センター外科)
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直腸脱に対する術式は様々だが、高齢者が多いため、侵襲や再発率などを勘案しつつ術式を選択せざるを得ない。合併症や経過中の負担を回避するため当科では、全身麻酔を要さず比較的侵襲の少ないとされる経会陰的手術を選択しがちであったが、再発に関しては十分な結果は得られていなかった。2021年11月から腹腔鏡下直腸固定術(以下LSR)を開始し、現在まで18例経験。今回、短期成績を検討したので文献的考察を加えて報告する。2021年11月から2025年4月までにLSRを行った症例は18例である。男性女性1:17、平均年齢82歳。直腸脱術後再発症例は3例、いずれも子宮脱手術およびGant-Miwa+Thiersch後であった。子宮全摘後5例、子宮脱併存3例、認知症4例。手術は全身麻酔下、砕石位、臍部カメラポートの5ポート。直腸剥離受動は挙筋レベルまで行い側方靭帯は極力温存。直腸固定はメッシュを用いず、非吸収糸で岬角レベルと直腸右前壁漿膜・筋層を水平マットレス縫合にて固定。短期成績は、手術時間中央値153(110-281)分。手術時出血量平均値0.25g。術後合併症はClavien-Dindo GradeIII以上はポートサイトヘルニア1例、GradeII以下は誤嚥性肺炎1例、せん妄1例、便秘2例、なし15例。術後在院期間中央値は7日。腹腔鏡下直腸固定術は全身麻酔を要するものの、術後経過から見れば低侵襲であり、術後再発も今のところ認めていない。当科の術式を供覧する。観察期間が短く、長期予後などはさらなる検討が必要である。