講演情報
[O26-8]直腸脱に対するLaparoscopic suture rectopexyの治療成績
井出 義人1,2, 野中 亮児1, 山川 拓真1, 岡 啓史1, 村上 剛平1, 山中 千尋1, 出村 公一1, 森本 修邦1, 西田 俊朗1 (1.JCHO大阪病院外科, 2.国家公務員共済組合連合会大手前病院)
【背景】直腸脱は高齢者に多くみられ、QOLを著しく損なう疾患である。手術による治療が標準であるが、高齢者では低侵襲かつ安全な術式が求められる。当院では、脱出長5cm以上で全身麻酔が可能な症例に対し、メッシュを使用しないLaparoscopic suture rectopexy(LSR)を第一選択としている。本研究では、当院におけるLSRの治療成績を後方視的に検討した。【方法】2019年4月から2025年3月までに当院でLSRを施行した全例を対象とし、年齢、性別、術前全身状態、脱出長、手術時間、出血量、術後合併症、術後入院期間、再発率について検討した。【結果】対象は18例(男性1例、女性17例)で、年齢中央値は83歳(73–95歳)であった。PSは0/1/2が1/11/6例、全例に何らかの併存疾患を認めた。脱出長の中央値は5 cm(5.0–10.0 cm)であった。術式は全例LSRを施行し、手術時間の中央値は118分(93–160分)、出血量は全例少量であった。術中の合併症は認めず、術後1例で化膿性椎間板炎を発症した。術後入院期間の中央値は6日(1–73日)であった。観察期間の中央値は38.9か月(1.0–69.2か月)であり、全例で再発を認めなかった。【結論】直腸脱に対するLaparoscopic suture rectopexy は、高齢者にも安全に施行可能であり、再発率が低く、非常に有用な術式の一つであると考える。