講演情報

[O27-5]地方市中病院におけるロボット支援下大腸癌手術の導入と現状

倉吉 学, 中原 雅浩, 小野 紘輔, 松森 亮祐, 日野 咲季子, 北村 芳仁, 大塚 裕之, 熊田 高志, 柳川 泉一郎, 坂井 寛, 山木 実, 橋詰 淳司, 徳本 憲昭, 大下 彰彦, 則行 敏生 (厚生連尾道総合病院外科)
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【はじめに】当院は広島県尾道市を中心に約24万人の医療圏を担う地方市中病院であり,年間約150例の大腸癌手術を実施している.ロボット支援下大腸癌手術は2024年にようやく開始となり,現在までに約1年が経過した.現在は2名の術者が執刀し,徐々に症例を重ねている段階である.【対象】2024年6月から2025年5月にロボット支援下大腸癌手術を施行した79例.【結果】年齢中央値:74歳(47~90),性別:男44/女35,原発占拠部位:C:10,A:8,T:5,D:6,S・RS:24,Ra:14,Rb:12(術前CRT6)であり,ステージはI:28, II:16,III:30,IV:5であった.術式は回盲部切除:10,右半結腸切除:9,横行結腸切除:1,脾彎曲部切除:6,下行結腸切除:3,S状結腸切除:12,高位前方切除:14,低位前方切除:10,超低位前方切除:9,ISR:1,ハルトマン手術:3,腹会陰式直腸切断術:1であった.手術時間は中央値295分(169~533)と長いが,前半40例:309分/後半39例:278分と徐々に短縮傾向にある.出血量は平均42ml(10~300)であった.Clavien-Dindo Grade 2以上の合併症は8例(10%)に認めた(縫合不全:3(再手術:2),吻合部出血:1,直腸膣瘻:1,神経因性膀胱:1,小腸腹壁瘻:1、肺炎:1).【現在の取り組み】手術枠の制限および若手外科医の腹腔鏡手術症例確保の理由から現在では直腸癌手術を優先的にロボット支援下手術の適応としている.肝・脾彎曲部の授動を要する場合はコンソール操作前に腹腔鏡操作を取り入れることや,クリップやエネルギーデバイス,ステープラーなどの操作を助手が積極的におこなうことにより手術時間の短縮やコスト削減,助手のモチベーション維持に取り組んでいる.今後もロボットをデバイスの一部と考えて,ロボット単独手術にこだわらずに腹腔鏡手術の利点を生かしながら症例を重ねていく予定である.