講演情報

[O28-4]市中病院における若手外科医によるロボット支援下直腸癌手術の短期成績

筒山 将之, 木村 優梨香, 大重 英昭, 岩﨑 真由子, 安井 知樹, 桑野 誠也, 平野 豪, 北條 由実子, 岩田 尚樹, 間下 直樹, 小林 大介, 杉本 博行, 望月 能成 (小牧市民病院消化器外科)
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【緒言】
術者条件の改定やCertification取得費用の無償化により、技術認定医をもたない若手外科医によるロボット支援下直腸がん手術(Robotic-assisted Rectal Surgery: RRS)の普及が進んでいる。当科では2020年2月よりRRSを導入し、2023年5月より若手医師が執刀を開始した。
【目的・方法】
若手医師によるRRSの短期成績とその安全性を評価することを目的とした。2020年2月から2024年12月までにRRSを施行した原発性直腸がん149例を、若手医師が執刀した症例(A群)と技術認定医を有する症例(B群)に分け、患者背景や手術成績、術後合併症などを後ろ向きに比較検討した。
【結果】
対象患者はA群35例、B群114例で、年齢中央値(範囲)はA群73歳(41-82歳)vs B群70歳(21-84歳)であった。性別(男性)はA群24例(68.6%)vs B群70例(61.4%)、BMI中央値はA群21.9(18.4-27.1)vs B群23.2(19.1-31.6)、主占居部位(RS/Ra/RbP)はA群14/11/10例 vs B群45/28/41例であり、これらには統計学的有意差は認められなかった。
手術時間中央値はA群300分(203-523分)vs B群271分(146-624分)、TMEまでのコンソール時間中央値はA群198分(122-310分)vs B群133分(90-210分)で、いずれもB群が有意に短かった(p<0.05)。出血量はA群25ml(1-355ml)vs B群13ml(1-2216ml)で有意差は認められなかった。いずれの群においても腹腔鏡や開腹手術への移行はなかった。
中枢側リンパ節郭清個数中央値はA群18個(4-42個)vs B群17個(3-44個)で有意差は認められなかった。Grade 3b以上の術後合併症はA群2例(5.7%)vs B群6例(5.2%)であり、術後在院日数はA群9日(6-168日)vs B群9日(6-45日)で有意差は認められなかった。
【結語】
若手医師によるRRSは技術認定医を持つ上級医と比較して手術時間やコンソール時間は長くなるものの、術後合併症等の成績は同等であった。症例経験を積むことによってさらに短期成績の改善が期待される。