講演情報

[O28-5]多発大腸癌に対するロボット支援手術

藤森 大輔, 北林 大暉, 加藤 一希, 林 雅人, 吉村 隆宏, 澤田 幸一郎, 林 泰寛, 尾山 佳永子, 小竹 優範, 原 拓央 (厚生連高岡病院外科)
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【緒言】ロボット手術の普及や適応拡大に伴い、多臓器にわたる重複癌症例や多発大腸癌症例における同時切除も増加傾向にある。単孔式ロボットの出現は大きなインパクトを与えているがその導入施設は少なく、多くは従来の腹腔鏡手術や多孔式ロボットでの手術となっている。当院ではda Vinci Xiを用いて2019年より直腸切除を、2022年より結腸癌手術を行っており、重複癌症例や多発大腸癌症例に対してもロボット手術を施行している。
【方法】当科でロボット手術を施行した多発大腸癌症例を対象に後方視的な検討を行った。
【結果】2022年4月~2025年4月の期間に、術前に多発大腸癌と診断しロボット手術を施行した症例は9例であった。内訳としては、①右側結腸切除(上行~右側横行結腸癌)と前方切除(S状結腸~直腸癌)を併施した症例が6例、②下行結腸部分切除と括約筋間切除が1例、③右側結腸切除と下行結腸部分切除が1例、④結腸亜全摘が1例(上行結腸癌と下行結腸癌)であった。多発大腸癌に対するロボット手術において最も苦慮したのがポートプレイスメントであった。術式ごとの創の数(小開腹創含む)はそれぞれ①で6−8つ、②で6つ、③で5つ、④で7つであった。①では再建方法やアシストポートの有無、カメラポートの位置などによって創の数に差異が見られていた。
【考察】腹腔鏡手術においては臍を中心としたスクエアのポートプレイスメントを取ることで5つの創でほぼ全大腸の病変へのアプローチが可能である。ロボット手術においては病変の局在によってポートプレイスメントの調整が不可欠であり、多くの場合で創の追加が必要となる。多発大腸癌に対するロボット手術は腹腔鏡手術と比較して腹壁への影響という観点では侵襲増大となるが、それを差し引いてもロボット手術の精緻性、骨盤内での操作性、術野の安定性など得られる恩恵は大きいと考えられる。
【結語】多発大腸癌に対するロボット手術は有用であると考えられるが、ポート創への配慮が必要である。