講演情報
[O3-2]当院における右側結腸癌に対するロボット支援手術と腹腔鏡下手術の比較
加藤 龍太郎, 廣川 高久, 島田 雄太, 庭本 涼佑, 中澤 充樹, 藤井 善章, 上野 修平, 今藤 裕之, 宮井 博隆, 小林 建司, 田中 守嗣, 木村 昌弘 (刈谷豊田総合病院)
【背景】右側結腸癌に対するロボット支援手術は2022年に保険収載されてから急速に増加しているが,腹腔鏡下手術(Lap)とロボット支援手術(Ro)を比較した検討は少なく,その有用性は明らかではない.実臨床においてRoの術後経過はLapに対して低侵襲な印象を持つが,その詳細は不明である.今回,当院における右側結腸癌手術症例を対象に,LapとRoを比較し,その有用性について検討した.
【方法】 2021年から2024年までに当院で右側結腸癌に対しLapまたはRo手術を施行された212例を対象とし後向きに研究した.患者背景,手術成績,術後経過,合併症及び術後血液検査結果を各群間で比較検討した.
【結果】Lap群76例,Ro群136例であった.年齢,性別,その他の患者背景において両群間で有意差はなかった.手術時間の中央値はLap:Ro=251分:198分であり,Ro群で有意に短縮していた(p<0.01).出血量(ml)は,Lap群が2‐620ml,Ro群が1‐630mlであり,Ro群で有意に少なかった(p=0.033).Clavien-Dindo分類Grade≧3の術後合併症発生率はLap:Ro=10.5% (8/76):6.3% (8/126)と有意差は認めなかった(p=0.279).術後の血液検査結果の比較ではPOD1,3,6の白血球数(/μl)の中央値はLap群とRo群で有意差は認めなかったが,POD1,3のCRP値(mg/dL)においてLap5.15:Ro3.65,Lap6.73:Ro4.93とRo群において有意に低いことが分かった(p<0.01,=0.036). また術後のAlb値では両群間に有意差を認めなかったものの,CRP/Alb ratio(CAR)を比較すると,POD1,POD3のCARはLap1.64:Ro1.18,Lap2.52:Ro1.64とRo群で有意に低かった(p<0.01,p=0.03).
【考察】今回の検討結果は,Ro手術はLap手術に比べ,手術時間短縮と出血量減少という良好な成績であった.さらに術後早期の炎症も抑えられる結果であり,重症術後合併症の発症の低減にもつながる可能性が示唆された.以上より,Ro手術は右側結腸癌に対して, Lap手術よりさらに低侵襲な治療を提供できるアプローチであると考えている.これらはRo手術の特徴である精緻な手術により,さらにembryological planeに沿った手術がもたらす結果と考えている.今後は観察期間をさらに伸ばし,長期的な予後への影響を検討する必要があると考える.
【方法】 2021年から2024年までに当院で右側結腸癌に対しLapまたはRo手術を施行された212例を対象とし後向きに研究した.患者背景,手術成績,術後経過,合併症及び術後血液検査結果を各群間で比較検討した.
【結果】Lap群76例,Ro群136例であった.年齢,性別,その他の患者背景において両群間で有意差はなかった.手術時間の中央値はLap:Ro=251分:198分であり,Ro群で有意に短縮していた(p<0.01).出血量(ml)は,Lap群が2‐620ml,Ro群が1‐630mlであり,Ro群で有意に少なかった(p=0.033).Clavien-Dindo分類Grade≧3の術後合併症発生率はLap:Ro=10.5% (8/76):6.3% (8/126)と有意差は認めなかった(p=0.279).術後の血液検査結果の比較ではPOD1,3,6の白血球数(/μl)の中央値はLap群とRo群で有意差は認めなかったが,POD1,3のCRP値(mg/dL)においてLap5.15:Ro3.65,Lap6.73:Ro4.93とRo群において有意に低いことが分かった(p<0.01,=0.036). また術後のAlb値では両群間に有意差を認めなかったものの,CRP/Alb ratio(CAR)を比較すると,POD1,POD3のCARはLap1.64:Ro1.18,Lap2.52:Ro1.64とRo群で有意に低かった(p<0.01,p=0.03).
【考察】今回の検討結果は,Ro手術はLap手術に比べ,手術時間短縮と出血量減少という良好な成績であった.さらに術後早期の炎症も抑えられる結果であり,重症術後合併症の発症の低減にもつながる可能性が示唆された.以上より,Ro手術は右側結腸癌に対して, Lap手術よりさらに低侵襲な治療を提供できるアプローチであると考えている.これらはRo手術の特徴である精緻な手術により,さらにembryological planeに沿った手術がもたらす結果と考えている.今後は観察期間をさらに伸ばし,長期的な予後への影響を検討する必要があると考える.