講演情報

[O3-4]内臓脂肪型肥満結腸癌患者に対する結腸右半切除術の従来型腹腔鏡手術とロボット支援手術の短期成績の比較・検討

髙嶋 祐助, 笠井 俊輔, 塩見 明生, 眞部 祥一, 田中 佑典, 小嶋 忠浩, 井垣 尊弘, 森 千浩, 石黒 哲史, 坂井 義博, 谷田部 悠介, 辻尾 元, 横山 希生人, 八尾 健太, 小林 尚輝, 山本 祥馬 (静岡県立静岡がんセンター大腸外科)
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【背景】肥満、特に内臓脂肪型肥満は大腸癌手術の難易度を高める事が報告されている。近年では保険収載に伴いロボット支援結腸切除術が増加傾向にあるが、肥満など困難な条件下における安全性・有用性に関する報告は未だ少数である。
【目的】内臓脂肪型肥満結腸癌患者に対する結腸右半切除術において従来型腹腔鏡手術(CLS)とロボット支援手術(RALS)の短期治療成績を比較・検討すること。
【対象と方法】CT冠状断での臍高位の内臓脂肪面積 (VFA)100cm2以上を内臓脂肪型肥満と定義した。内臓脂肪型肥満患者に対して2014年4月から2025年2月に当院で鏡視下結腸右半切除術を施行した原発性結腸癌症例のうち、他術式併施・姑息切除・術前化学療法・検討項目情報不足・他臓器合併切除・StageIV・右側結腸切除既往症例を除く206例を対象に後方視的に解析した。
【結果】CLS/RALS群=132/74例であった。CLS群と比較してRALS群では有意に腹部手術既往が多かったが(p=0.009)、その他の臨床病理学的因子に有意差は認めなかった。CLS群と比較してRALS群は手術時間(中央値; 199分 vs. 191分, p=0.313)、開腹移行率(2% vs. 0%, p=0.537)、術後在院日数延長(>14日; 2% vs. 0%, p=0.537)に有意差は認めなかったが、出血量(中央値; 12g vs. 0g, p<0.001)・Clavien-Dindo grade I以上の術後合併症発生率(24% vs. 12%, p=0.037)が有意に少ない結果であった。多変量解析の結果、合併症発生に寄与する独立因子として喫煙歴あり(vs.なし, オッズ比2.71, p=0.034 )、RALS(vs. CLS、オッズ比0.45, p=0.049)が同定された。
【結語】内臓脂肪型肥満結腸癌患者に対する鏡視下結腸右半切除術において、ロボット支援手術は手術時間を延長することなく良好な周術期短期成績に寄与する可能性が示唆された。