講演情報
[O4-2]当院におけるmismatch repair 遺伝子検査の実施と遺伝性大腸がん検索の連携の実状
鈴木 陽三1, 大里 祐樹1, 萩原 清貴1, 野間 俊樹1, 松下 克則1, 新野 直樹1, 中島 慎介1, 楠本 英則2, 豊田 泰弘3, 池永 雅一4, 清水 潤三1, 川瀬 朋乃1,5, 赤木 謙三3, 冨田 尚裕1,5, 今村 博司1,5 (1.市立豊中病院消化器外科, 2.市立豊中病院呼吸器外科, 3.市立豊中病院乳腺外科, 4.川西市立総合医療センター消化器外科, 5.市立豊中病院がん診療部)
【背景】Mismatch repair (MMR) 遺伝子検査は切除不能進行大腸癌における治療薬選択の補助および切除標本等を用いて新規Lynch syndrome(LS)を見つけるためのuniversal screening目的で実施されるが,実臨床でどれくらいの割合でLSの診断に繋がっているのかについてはあまり報告されていない.【目的】地域がん診療拠点病院である当院におけるMMR実施状況及びLS診断件数について調べること.【方法】当院で2023年2月から2025年3月までに大腸癌標本を用いてMMR検査を施行された症例についてその年齢,性別,主病変の占拠部位,臨床病理病期,MMRの結果,RAS・BRAF遺伝子変異の有無,遺伝カウンセリング(genetic counseling; GC)実施の有無,LS二次検査結果について解析した.【結果】137症例が同定された.女性が47%,年齢中央値74歳,左側病変が83%,StageIVが27例(19.7%)であった.手術標本を用いた検査が54例(39.4%)であった.MMR deficient (dMMR)は15例(10.9%)に認め,BRAF V600E変異は10例(7.3%)に認めた.dMMRのうち9例(60.0%)はBRAF V600E陽性であった.BRAF V600E変異陰性dMMRであった6例のうち,遺伝カウンセリングが行われたのは3例(50.0%)で,二次検査の結果LSと診断されたものは0例(0.0%)あった【結語】dMMRおよびBRAF V600E陽性率は概ね既報と同水準であったが,GC実施率は50%と海外の既報よりやや低くLSと同定されたものは無かったことから,啓蒙活動や説明方法の修正が必要と考えられた.