講演情報

[O5-4]腹腔鏡下右側結腸切除に対する体腔内吻合の取り組みと成績の検討

丸山 圭三郎, 山﨑 翔斗, 藤瀬 悠太, 銕尾 智幸, 町野 隆介, 國﨑 真己, 草場 隆史, 碇 秀樹 (佐世保中央病院)
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【緒言】腹腔鏡下右側結腸切除における体腔内吻合は近年多くの施設で導入されている。体腔内吻合は手術時間の延長や細菌・腫瘍細胞の播種などの懸念はあるが、小開腹創の短縮、腸管授動範囲の最小化、無理な腸管牽引による損傷や出血の回避などメリットは大きいと考える。当院では2020年4月に腹腔鏡下右側結腸切除に対して、overlap吻合による体腔内再建法を導入している。【適応】導入当初の適応は、1/2周以下の原発部位が盲腸~横行結腸肝彎曲部で進行度はcStageⅡaまでとしていたが慎重に適応を拡大しているところである。【手技】標本摘出後、回腸および横行結腸に小孔をあけた後に、60mm自動縫合器を用い、挿入口は切除断端より口側20mm、肛門側80mmに作製し、腸間膜対側で側々吻合を行う。共通孔は吸収性バーブ付き縫合糸を2本用い、1本目で全層連続縫合にて閉鎖し、2本目で1本目と逆方向から漿膜筋層を連続縫合し補強する。【方法】2020年4月から2025年3月までに原発性結腸癌に対して腹腔鏡下右側結腸切除を行った80例の患者を体腔内吻合群(I群)、体腔外吻合(E群)に分け、手術時間や術後合併症、術後在院日数などについて検討した。【結果】I群は30例、E群は50例であった。患者背景は、男女比はI群で17:13、E群で20:30(p=0.070)、年齢・BMIの平均値はそれぞれ73歳、74歳(p=0.503)、22.1kg/m2(p=0.238)であった。また、E群で有意にcT4、cN(+)の症例が多かった。結果は、E群で有意に出血量が多く(p=0.009)、pT4症例が多かった(p<0.05)。また、2群間で、手術時間や術後在院日数、術後合併症発生率に有意な差は認めなかった。【考察】体腔内吻合は早期症例が多いが、体腔外吻合と遜色ない結果と考える。播種再発を含めた長期成績への懸念があるが、体腔外吻合と差がないとする報告もありさらなる症例の蓄積・検討が望まれる。【結語】当院での体腔内吻合に関する検討を行った。体腔内吻合は得られるメリットも大きく長期成績などを検討しつつ適応を拡大してく予定である。当院での実際の手技も供覧し、若干の文献的考察も踏まえて報告する。