講演情報
[O5-7]結腸癌に対する体腔内吻合の短期・長期成績の検討
森 康一1, 小澤 真由美1, 田中 宗伸2, 工藤 孝迪1, 大矢 浩貴2, 前橋 学1, 田 鐘寛2, 諏訪 雄亮1, 諏訪 宏和3, 沼田 正勝1, 佐藤 勉1, 渡邉 純2,4, 遠藤 格2 (1.横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター外科, 2.横浜市立大学消化器腫瘍外科, 3.横須賀共済病院外科, 4.関西医科大学下部消化管外科)
【背景】結腸癌に対する体腔内吻合の長期成績についての報告は少ない。当院では2017年より体腔内吻合を導入し、デルタ吻合を基本としている。発表中では実際の手技を供覧する。
【方法】 2017年1月から2021年4月に腹腔鏡手術を施行したcStage1-3の結腸癌(盲腸癌 - S状結腸癌)589症例を対象とし、患者背景を調節因子としPropensity Score Matchingを行い体腔内吻合群 (I群)と体腔外吻合群 (E群)の2群を比較した。
【結果】39例ずつが抽出された。吻合方法はI群はすべてデルタ吻合、E群は三角吻合が2例、FEEAが37例であった。患者背景はI群/E群で年齢(中央値[IQR])は 75歳[64-89歳]/74歳[59-90歳](p=0.783)、性別(男/女) 22:17 / 19:20(p=0.650)、BMIは23.4[21.8-26.0]/23.0[20.9-25.1](p=0.376)、主占居部位(C/A/T/D/S)は7:19:9:3:1/8:23:3:4:1 (p=0.433)、cStage (I:II:III)は13:13:13 / 14:12:13 (p=0.981)と差はなかった。術式(ICR/PC(A)/RHC/PC(T)/PC(D)/S)は7:13:11:2:5:1/8:9:14:3:4:1(P=0.919)で、小開腹創長は35mm[30-45mm]/45mm[40-50mm](p<0.01)でI群で短かった。手術時間は181分[138-220分]/185分[135-212分](p=0.964)、術中出血量は0ml[0-13ml]/5ml[0-26ml] (p<0.01)でI群で少なかった。
術後合併症はClavien-Dindo分類(GradeⅡ以上) 4例(10.2%)/3例(7.7%)(p=1.00)で、瘢痕ヘルニアは1例(2.5%)/2例(5.0%) (p=1.00)に認めた。術後初回排ガスは1日[1-2日]/1日[1-2日] (p=0.475)、術後初回排便は2日[2-3日]/2日[2-3日] (p=0.207)、食事開始日数は2日[2-3日]/3日[2-3日] (p=0.203)で差を認めず、術後在院日数は6日[5-7日]/7日[6-8日](p=0.023)でI群で短かった。長期成績に関しては4年DFSは82.1%/79.6%(P=0.673)、4年OSは90.3%/83.1%(P=0.21)で差を認めなかった。腹膜播種再発は2例(5.0%)/1例(2.5%)(p=1.00)で局所再発はいずれの群でも認めなかった。
【結語】結腸癌に対する体腔内吻合は手術時間を延長することなく安全に施行され、術後経過も良好であった。長期成績についても遜色なく、有用な術式と考えられたが今後さらなる症例の集積が必要である。
【方法】 2017年1月から2021年4月に腹腔鏡手術を施行したcStage1-3の結腸癌(盲腸癌 - S状結腸癌)589症例を対象とし、患者背景を調節因子としPropensity Score Matchingを行い体腔内吻合群 (I群)と体腔外吻合群 (E群)の2群を比較した。
【結果】39例ずつが抽出された。吻合方法はI群はすべてデルタ吻合、E群は三角吻合が2例、FEEAが37例であった。患者背景はI群/E群で年齢(中央値[IQR])は 75歳[64-89歳]/74歳[59-90歳](p=0.783)、性別(男/女) 22:17 / 19:20(p=0.650)、BMIは23.4[21.8-26.0]/23.0[20.9-25.1](p=0.376)、主占居部位(C/A/T/D/S)は7:19:9:3:1/8:23:3:4:1 (p=0.433)、cStage (I:II:III)は13:13:13 / 14:12:13 (p=0.981)と差はなかった。術式(ICR/PC(A)/RHC/PC(T)/PC(D)/S)は7:13:11:2:5:1/8:9:14:3:4:1(P=0.919)で、小開腹創長は35mm[30-45mm]/45mm[40-50mm](p<0.01)でI群で短かった。手術時間は181分[138-220分]/185分[135-212分](p=0.964)、術中出血量は0ml[0-13ml]/5ml[0-26ml] (p<0.01)でI群で少なかった。
術後合併症はClavien-Dindo分類(GradeⅡ以上) 4例(10.2%)/3例(7.7%)(p=1.00)で、瘢痕ヘルニアは1例(2.5%)/2例(5.0%) (p=1.00)に認めた。術後初回排ガスは1日[1-2日]/1日[1-2日] (p=0.475)、術後初回排便は2日[2-3日]/2日[2-3日] (p=0.207)、食事開始日数は2日[2-3日]/3日[2-3日] (p=0.203)で差を認めず、術後在院日数は6日[5-7日]/7日[6-8日](p=0.023)でI群で短かった。長期成績に関しては4年DFSは82.1%/79.6%(P=0.673)、4年OSは90.3%/83.1%(P=0.21)で差を認めなかった。腹膜播種再発は2例(5.0%)/1例(2.5%)(p=1.00)で局所再発はいずれの群でも認めなかった。
【結語】結腸癌に対する体腔内吻合は手術時間を延長することなく安全に施行され、術後経過も良好であった。長期成績についても遜色なく、有用な術式と考えられたが今後さらなる症例の集積が必要である。