講演情報
[O6-5]中規模施設で行う腹腔鏡下結腸切除術における体内吻合の短期成績
浅井 慶子, 久万田 優佳, 安達 雄輝, 唐崎 秀則, 稲葉 聡 (JA北海道厚生連遠軽厚生病院)
【はじめに】当院では年間約250-300例の全身麻酔管理手術,大腸癌原発切除手術は30-50例程度,体腔内吻合(IA)が適応となる症例は年間10例前後の中規模施設である.2021年6月IAを導入し2025年3月まで36例経験した.【目的】術者のラーニングカーブ,合併症,予後等検討し当院のような中規模施設で今後どのように取り組んでいけば良いかを模索する【対象】2021年6月から2025年3月までOA法3例導入したのちデルタ吻合へ変更して33例の計36例.症例の体型・性別・部位は問わず,明らかなイレウス以外は対象とした.【結果】腫瘍の位置(C/A/T/D)は(11/17/5/3). 術式は回盲部切除17例,結腸(拡大)右半切除15例,結腸左半切除4例. 手術時間中央値292(126-477)分,出血量中央値0(0-460)mlで吻合時間中央値23(10-62)分.grade3bの合併症は7・17例目で縫合不全であった.術後再発はステージⅣを除き,透析患者で術後補助化学療法を施行できなかった粘液癌症例とPS3で高次機能障害を伴う壊疽性胆囊炎併発症例に対して姑息的に切除し腹膜播種再発を認めた2例.右側症例にはPfannenstiel切開を導入し6例経験したが腹壁瘢痕ヘルニア(Incisonal hernia:IC)は認めていない.臍切開では高BMI症例2例にICを認めた.同時期に体外吻合FEEA施行した20例中1例にICを認めた【考察】多くない症例数だが,過去の症例選択,手技で予後に悪影響は与えていないと思われる.縫合不全2例の原因を検討後は吻合トラブルは起きていない.縫合不全1例目はデルタではなくOL法であれば縫合不全は回避できたと考えている.ICは症例数が少なく差はでないがPfannenstiel切開の方が筋膜閉鎖時見やすく運針もしやすい印象はあった.前年度まで主な執刀医となるLAC経験のある中堅医師1-2人,専攻医,指導医で行い,手技は安定してきた.今年度LAC経験のない中堅医師,専攻医,指導医というメンバーとなった.人員に制限のある状況でも安全に指導しながら施行できる術式を選択していかなくてはいけないと思われる.