講演情報
[O6-6]結腸癌手術における体腔内吻合を習得する意義について考える
堀 直人1,2, 松本 真実1, 宮本 耕吉1, 水野 憲治1, 小寺 正人1, 大石 正博1 (1.鳥取市立病院外科, 2.岩国医療センター外科)
【はじめに】結腸癌手術における体腔内吻合はロボット手術の普及も相まって広まりつつある。当院では2023年10月に体腔内吻合を導入した。
【対象と方法】2023年10月から2025年1月までに当院で施行された予定手術のうち腹腔鏡もしくはロボット支援下に結腸切除を行った35例を対象とした。体腔内吻合群(以下IA群)15例の短期成績を検討し、体腔外吻合群(以下EA群)20例と比較検討する。
【結果】IA群の疾患内訳は原発性大腸癌12例、転移性大腸癌1例、LAMN追加切除1例、良性疾患1例。1例重複癌あり、吻合方法はデルタ吻合13か所、Overlap吻合3か所。吻合時間中央値は17分/67分でデルタ吻合が早かった(p=0.01)。上行結腸癌と下行結腸癌の重複癌を経験した。肥満かつ間膜が短縮しており体腔外吻合をすればかなり大きな皮膚切開が必要だったが、体腔内吻合を行いPfannenstiel切開から取り出すことで比較的小さな創にできた。同症例では今のところ腹壁瘢痕ヘルニアは起こっていない。EA群の疾患の内訳は原発性大腸癌19例、良性疾患1例。EA群と比べてIA群でロボットが多い傾向にあり(33% vs 15%, p=0.25)、Pfannenstiel切開が多かった(53.3% vs 0%, p<0.01)。他領域の同時手術はIA群3例(先述の重複大腸癌、胃切、胆摘)、EA群0例った。手術時間に差はなく(259分 vs 251分, p=0.96)、出血量も差がなかった。皮膚切開長はIA群でやや短い傾向にあった(4.5cm vs 5cm, p=0.10)。初回排ガス/排便/歩行開始に差はなく、術後在院日数はIA群でやや短い傾向にあった(9日 vs 11日, p=0.38)。CD3以上の合併症に差はなかった(6.7% vs 10%)。
【考察】体腔内吻合のメリットの一つに結腸の授動範囲を体腔外吻合に比べて少なくできることが挙げられる。肥満症例、間膜の短い症例、胃や胆膵の術後で標本を体外に引き出すのが困難な症例では特に意味がある。SSIや腹膜播種が増加する懸念があるが、幸い今のところ経験はない。早期腸管蠕動回復、在院日数の短縮などのメリットは示せなかった。
【結語】授動範囲を少なくしたい症例や間膜が短縮している症例では体腔内吻合のメリットがあり、習得すべき手技であると考える。
【対象と方法】2023年10月から2025年1月までに当院で施行された予定手術のうち腹腔鏡もしくはロボット支援下に結腸切除を行った35例を対象とした。体腔内吻合群(以下IA群)15例の短期成績を検討し、体腔外吻合群(以下EA群)20例と比較検討する。
【結果】IA群の疾患内訳は原発性大腸癌12例、転移性大腸癌1例、LAMN追加切除1例、良性疾患1例。1例重複癌あり、吻合方法はデルタ吻合13か所、Overlap吻合3か所。吻合時間中央値は17分/67分でデルタ吻合が早かった(p=0.01)。上行結腸癌と下行結腸癌の重複癌を経験した。肥満かつ間膜が短縮しており体腔外吻合をすればかなり大きな皮膚切開が必要だったが、体腔内吻合を行いPfannenstiel切開から取り出すことで比較的小さな創にできた。同症例では今のところ腹壁瘢痕ヘルニアは起こっていない。EA群の疾患の内訳は原発性大腸癌19例、良性疾患1例。EA群と比べてIA群でロボットが多い傾向にあり(33% vs 15%, p=0.25)、Pfannenstiel切開が多かった(53.3% vs 0%, p<0.01)。他領域の同時手術はIA群3例(先述の重複大腸癌、胃切、胆摘)、EA群0例った。手術時間に差はなく(259分 vs 251分, p=0.96)、出血量も差がなかった。皮膚切開長はIA群でやや短い傾向にあった(4.5cm vs 5cm, p=0.10)。初回排ガス/排便/歩行開始に差はなく、術後在院日数はIA群でやや短い傾向にあった(9日 vs 11日, p=0.38)。CD3以上の合併症に差はなかった(6.7% vs 10%)。
【考察】体腔内吻合のメリットの一つに結腸の授動範囲を体腔外吻合に比べて少なくできることが挙げられる。肥満症例、間膜の短い症例、胃や胆膵の術後で標本を体外に引き出すのが困難な症例では特に意味がある。SSIや腹膜播種が増加する懸念があるが、幸い今のところ経験はない。早期腸管蠕動回復、在院日数の短縮などのメリットは示せなかった。
【結語】授動範囲を少なくしたい症例や間膜が短縮している症例では体腔内吻合のメリットがあり、習得すべき手技であると考える。