講演情報

[O7-1]アザチオプリンによる炎症性腸疾患の長期寛解維持効果の検討

野口 光徳 (野口胃腸内科医院)
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背景:難治性潰瘍性大腸炎(UC)やクローン病(CD)患者にたいしてアザチオプリン(AZA)の寛解維持療法が保険適応となり19年が経過した。目的:当院でAZAの長期投薬を要した炎症性腸疾患(IBD)患者56名の寛解維持効果、投薬量、NUDT15遺伝子多型、モニタリングの評価を検討する。方法:2012年1月から2017年12月までにAZAによる治療を受けたIBD患者56名(UC:48名、CD8名)を対象とした。対象:平均41.7歳(30−65)罹病期間20.9年(7-29)AZA投与期間11.7年(5-20)。 使用適応は、ステロイド依存性および抵抗性IBD患者、CD、UC患者に対するインフリキシマブ(IFX)との併用療法であった。結果:①寛解導入療法は(タクロリムス5名、ステロイド56名、LCAP 12名、IFX 10名、アダリムバブ2名)であり、導入〜維持療法移行期から、AZA25mg/dayで開始した。全例ステロイドを離脱した。② 葉酸代謝拮抗作用を目指し、末梢血MCVは平均94.1(85-99.8)に増加、白血球数4308 (2500-7300) に抑制された。③AZA 投薬量は、48.4mg/day(12.5-125)(0.9mg/kg)、既報に比べ、低用量であった。④AZA投与期間は平均141ヶ月(60-240)、妊娠や長期寛解で離脱した8例(60ヶ月)のうち、再燃した2例は再投与で改善した。⑤サーベランスCFにて指摘された大腸癌はUC2例(UCAN/IFX併用9年、6年)で外科手術を施行した。⑥ AZAとの併用療法は(メサラジン 46名、IFX 10名、アダリムバブ 2名)⑦ AZA併用IFX治療例は、2次無効なく長期治療が可能であった。⑦NUDT15遺伝子多型検査は全18例CCメジャーであった。⑧寛解維持効果:5例が再燃し、3例が抗体療法、2例がJAK阻害剤の治療に移行した。膵炎、脱毛などは認めなかった。結語:AZA維持療法は、併用療法のため低用量で効果があった。NUDT15多型を投与前に確認し、白血球数やMCV測定で、服薬の確認や効果判定が可能であった。