講演情報
[O7-2]潰瘍性大腸炎に対するリサンキズマブの使用経験
橋本 沙優里, 淺井 哲, 大舘 秀太 (多根総合病院)
【諸言】ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体であるリサンキズマブは、既存治療で効果不十分な中等症から重症の潰瘍性大腸炎(UC)に対する寛解導入および維持療法として2024年6月に適応追加承認された。今回、当院でリサンキズマブによるUCの治療を2例経験したため報告する。
【症例1】37歳男性。2019年9月、下血を契機に施行した下部消化管内視鏡検査(CS)で左側大腸炎型UCと診断された。5-アミノサリチル酸(5-ASA)経口薬4,800mg/日および坐剤1g/日で治療を開始したが、寛解と再燃を繰り返し、2022年11月には全大腸炎型に進展した。その後も5-ASA製剤による治療抵抗性のため、2024年4月に当院へ紹介された。プレドニゾロン(PSL)40mg/日で寛解導入を試み、アザチオプリン50mg/日で寛解維持を試みたが、ステロイド減量時の再燃とアザチオプリンによる肝障害が生じた。この時点でのpartial Mayo scoreは6点、CSではMatts Grade 3の炎症所見を認めた。アザチオプリン使用困難なステロイド依存例と判断し、リサンキズマブを導入したところ、12週後のpartial Mayo scoreは2点で寛解を達成し、32週経過後も寛解を維持している。
【症例2】33歳男性。2022年11月より血便があり、2023年1月のCSで全大腸炎型UCと診断された。5-ASA経口薬3,600mg/日で治療を開始したが効果不十分であり、PSL 30mg/日で寛解導入を行ったが改善せず、5-ASA中止後に症状改善がみられたため5-ASA不耐症と判断した。その後、PSLを漸減しつつアザチオプリン50mg/日で寛解維持を行い、一旦は良好な経過であったが、2024年8月に腹痛・下血が再燃した。partial Mayo scoreは4点、CSではMatts Grade 3と増悪を認めたため、リサンキズマブを導入した。12週後のpartial Mayo scoreは0点で寛解を達成し、32週経過後も寛解維持されている。
【結語】新規薬剤の使用経験を2例経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
【症例1】37歳男性。2019年9月、下血を契機に施行した下部消化管内視鏡検査(CS)で左側大腸炎型UCと診断された。5-アミノサリチル酸(5-ASA)経口薬4,800mg/日および坐剤1g/日で治療を開始したが、寛解と再燃を繰り返し、2022年11月には全大腸炎型に進展した。その後も5-ASA製剤による治療抵抗性のため、2024年4月に当院へ紹介された。プレドニゾロン(PSL)40mg/日で寛解導入を試み、アザチオプリン50mg/日で寛解維持を試みたが、ステロイド減量時の再燃とアザチオプリンによる肝障害が生じた。この時点でのpartial Mayo scoreは6点、CSではMatts Grade 3の炎症所見を認めた。アザチオプリン使用困難なステロイド依存例と判断し、リサンキズマブを導入したところ、12週後のpartial Mayo scoreは2点で寛解を達成し、32週経過後も寛解を維持している。
【症例2】33歳男性。2022年11月より血便があり、2023年1月のCSで全大腸炎型UCと診断された。5-ASA経口薬3,600mg/日で治療を開始したが効果不十分であり、PSL 30mg/日で寛解導入を行ったが改善せず、5-ASA中止後に症状改善がみられたため5-ASA不耐症と判断した。その後、PSLを漸減しつつアザチオプリン50mg/日で寛解維持を行い、一旦は良好な経過であったが、2024年8月に腹痛・下血が再燃した。partial Mayo scoreは4点、CSではMatts Grade 3と増悪を認めたため、リサンキズマブを導入した。12週後のpartial Mayo scoreは0点で寛解を達成し、32週経過後も寛解維持されている。
【結語】新規薬剤の使用経験を2例経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。