講演情報

[O8-8]直腸癌術後側方リンパ節再発に対し腹腔鏡下側方リンパ節郭清を施行した4例

前田 文, 伊藤 俊一, 前田 新介, 谷 公孝, 腰野 蔵人, 近藤 侑鈴, 二木 了, 金子 由香, 番場 嘉子, 小川 真平, 山口 茂樹 (東京女子医科大学消化器・一般外科)
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【背景】下部直腸癌患者の16~23%に側方リンパ節(LLN)転移がみられる.日本のガイドラインではcT3/T4下部直腸癌に対して側方リンパ節郭清(LLND)を推奨しているが予防的LLNDの推奨は弱い.当院では短径7mm以上のLLNを有する症例にLLNDを行っている.最近2年間に術後LLN再発症例3例に根治的LLNDを施行したので報告する.
【症例1:43歳男性】下部直腸癌に対して腹腔鏡下APRを施行した.pT3N2M0, pRM1で術後補助化学療法としてCAPOXを施行した.43ヵ月後に右LLN指摘され腹腔鏡下右LLNDを施行した.その19ヵ月後に左LLN転移を認め腹腔鏡下左LLNDを施行 (手術時間OT247分,出血量BL11g)した.組織学的に閉鎖リンパ節に転移を認めた.術後40ヵ月再発なく経過している.
【症例2:63歳女性】中下部直腸癌に対し腹腔鏡下LARを施行した.pT3N2M0だが術後補助療法は施行しなかった.60ヵ月後にLLN再発を認め腹腔鏡下左LLND施行 (OT214分,BL5g)した.組織学的に閉鎖リンパ節に転移を認めた.術後補助療法としてCAPOXを4コース施行,術後27ヵ月再発なく経過している.
【症例3:58歳男性】下部直腸癌に対し腹腔鏡下ISRを施行した.pT3N1bM0で術後補助療法としてCAPOXを施行した.11ヵ月後に右LLN再発を認め,腹腔鏡下右LLND内腸骨動脈・静脈合併切除術を施行した(OT302分、BL15g).組織学的に内腸骨リンパ節に転移を認めた.術後33ヵ月再発なく経過している.
【症例4:41歳男性】下部直腸癌に対しロボット支援下括約筋間切除を施行した.pT2N0M0.24カ月後に左LLN転移を認め腹腔鏡下LLNDを施行した(OT176分,BL3g).組織学的に閉鎖リンパ節転移を認めた.術後補助療法としてCAPOXを4コース施行,術後15カ月再発なく経過している.
【結論】直腸癌手術におけるLLNDは,局所制御や生存率改善というベネフィットと手術侵襲や術後機能障害とのバランスを考慮し,個々に適応を決定すべきである.直腸癌LLN再発4例に対し腹腔鏡下サルベージ手術を施行したが安全に施行可能だった.