講演情報

[P10-1]腹腔鏡下右側結腸切除術後の合併症と疼痛のリスク因子

鳥居 翔, 小林 靖幸, 佐藤 純人, 浜野 孝 (聖隷浜松病院大腸肛門科)
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【はじめに】ロボット支援腹腔鏡下結腸切除術の普及により、体腔内吻合を取り入れることで短期合併症が減少し、創長が縮小し、疼痛が減少することが期待されている。当科の腹腔鏡下右側結腸切除術の再建法は、体腔外で主に器械吻合している。今回、短期合併症と疼痛のリスク因子を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】2023年5月~2025年4月の腹腔鏡下右側結腸切除術131例を対象に、短期成績と術後疼痛のNRS (Numerical Rating Scale)を評価した。【結果】年齢中央値75歳。男女比62:69。BMI中央値22.2。既往歴は心疾患37例(28.2%)、糖尿病27例(20.6%)、呼吸器疾患21例(16.0%)。ASAリスクは1/ 2/ 3/ 4が1/ 74/ 53/ 3例。原発巣はV/ C/ A/ Tが4/ 24/ 76/ 27例で、癌127例(96.9%)、その他4例(3.1%)。癌の術前診断は、T1/ T2/ T3/ T4が22/ 17/ 56/ 32、N0/ N1/ N2/ N3が68/ 45/ 10/ 4、Stage I/ II/ III/ IVは35/ 29/ 54/ 9。術式は回盲部または部分切除63例(48.1%)、結腸半側切除68例(51.9%)。アプローチ法は腹腔鏡71例(54.2%)、ロボット60例(45.8%)。小開腹の切開長が明らかな症例で7cm未満/ 7cm以上が50.6%/ 49.4%。硬膜外麻酔は77例(58.8%)に行われ、手術時間中央値239分、術中出血量中央値10ml。短期合併症(Clavien-Dindo分類≧grade II)は28例(21.4%) で、内訳(重複あり)はSSI 15例、縫合不全8例、イレウス5例、肺炎4例、心疾患3例、出血3例、その他5例。在院死亡1例、術後在院期間中央値8日。NRS中央値は安静時/ 最大値で術後1~3日目は1.0/ 2.0、術後4、5日目は1.0/ 1.0。単変量解析では男性、ASA≧3で有意に短期合併症が多かった。NRS最大値に影響する因子は、術後1日目は男性、3日目は若年、5日目は短期合併症であった。【考察】腹腔鏡下右側結腸切除術後の短期合併症のリスク因子は、男性と併存症であった。また短期合併症は疼痛を増悪させた。本検討ではロボット、創長、硬膜外麻酔はNRSに影響しなかった。高リスク患者の短期合併症を減らすための技術を導入することが、疼痛改善に寄与すると考えられる。