講演情報
[P11-4]他院より搬送され緊急手術を施行した医原性大腸穿孔の2症例
小倉 道一, 姫川 昊, 内藤 夏海, 原 聖佳, 杉山 順子, 大原 守貴 (春日部市立医療センター外科)
【はじめに】日本消化器内視鏡学会による2019~2021年までの全国調査によると,大腸内視鏡による偶発症は28例(0.046%)で,穿孔が5例あり,4例に手術が施行されていた.医原性大腸穿孔において重篤化を避けるため緊急手術が選択されることが多い.今回われわれは穿孔当日の緊急手術により良好な経過が得られた医原性大腸穿孔の2症例を経験した.
【症例①②】ともに75歳男性,大腸癌検診の便潜血検査陽性のため前医で下部消化管内視鏡検査を施行.
①問題なく前処置を行い,内視鏡検査を施行すると直腸RS部に2cm大の開口部を認め,内視鏡検査を中止した.CTで直腸近傍の後腹膜にガスを認め,転院搬送され手術を施行した.直腸RSの漿膜が発赤し膨張していたが,腹水はなかった.色調が変化した直腸を切除し吻合した.切除検体から内視鏡挿入時の穿孔が疑われた.
②盲腸のIs ポリープに対してEMR を施行した.検査後より下腹部痛を認め,穿孔を疑い転院搬送となった.CTで腹腔内に遊離ガスを認め,盲腸穿孔の診断で手術を施行.骨盤内に少量の混濁腹水があり,盲腸に周囲が白色に変色した穿孔部を認め,クリップが露出していた.盲腸を授動して臍の小開腹創に引き出し,穿孔部を含む変色した盲腸を部分切除して縫合した.
ともに穿孔当日の腹腔鏡手術であり,前処置により腹腔内の汚染は軽度であった.合併症なく術後7日目,8日目に自宅退院した.
【考察】大腸ESD/EMRガイドライン(第2版)では穿孔を来した際は部位に関わらずクリップ閉鎖が推奨されている.完全縫縮が可能であれば手術を回避できる可能性が高いが,不完全縫縮では汎発性腹膜炎を呈する場合が多く,速やかに手術を選択する必要がある,とされる.過去の内視鏡による大腸穿孔の報告では前処置により腸管内が清浄化されて汚染が高度とならず,保存治療で治癒に至った例が散見される.
【結語】穿孔当日の緊急手術が良好な転帰をもたらした医原性大腸穿孔の2症例について文献的考察を加えて報告する.
【症例①②】ともに75歳男性,大腸癌検診の便潜血検査陽性のため前医で下部消化管内視鏡検査を施行.
①問題なく前処置を行い,内視鏡検査を施行すると直腸RS部に2cm大の開口部を認め,内視鏡検査を中止した.CTで直腸近傍の後腹膜にガスを認め,転院搬送され手術を施行した.直腸RSの漿膜が発赤し膨張していたが,腹水はなかった.色調が変化した直腸を切除し吻合した.切除検体から内視鏡挿入時の穿孔が疑われた.
②盲腸のIs ポリープに対してEMR を施行した.検査後より下腹部痛を認め,穿孔を疑い転院搬送となった.CTで腹腔内に遊離ガスを認め,盲腸穿孔の診断で手術を施行.骨盤内に少量の混濁腹水があり,盲腸に周囲が白色に変色した穿孔部を認め,クリップが露出していた.盲腸を授動して臍の小開腹創に引き出し,穿孔部を含む変色した盲腸を部分切除して縫合した.
ともに穿孔当日の腹腔鏡手術であり,前処置により腹腔内の汚染は軽度であった.合併症なく術後7日目,8日目に自宅退院した.
【考察】大腸ESD/EMRガイドライン(第2版)では穿孔を来した際は部位に関わらずクリップ閉鎖が推奨されている.完全縫縮が可能であれば手術を回避できる可能性が高いが,不完全縫縮では汎発性腹膜炎を呈する場合が多く,速やかに手術を選択する必要がある,とされる.過去の内視鏡による大腸穿孔の報告では前処置により腸管内が清浄化されて汚染が高度とならず,保存治療で治癒に至った例が散見される.
【結語】穿孔当日の緊急手術が良好な転帰をもたらした医原性大腸穿孔の2症例について文献的考察を加えて報告する.