講演情報

[P11-5]直腸癌術後1か月後に、尿管損傷の診断となった1例

岩永 孝雄, 大谷 暉, 下山 貴寛, 堀 智英, 西川 隆太郎, 中山 茂樹, 梅枝 覚, 山本 隆行 (JCHO四日市羽津医療センター外科)
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症例は64歳男性。3か月以上下痢が継続し健診で便潜血陽性を指摘され、直腸癌(cStageⅢ)の診断となった。腹腔鏡下低位前方切除および減圧目的回腸人工肛門造設術施行した。術中原発巣の周囲への浸潤のため小腸部分切除および左精管合併切除となった。術後4週間目に退院となるも、退院後1週間にて倦怠感や食思不振にて受診、回腸ストマからの排液量多く高度脱水にて緊急入院となった。輸液治療進め、その後CT検査にて骨盤膿瘍が疑われたためCTガイド下ドレナージ施行した。経過中ドレーン排液の減少なく、排液クレアチニン高値であった。術後約1か月の経過で左尿管損傷の診断となった。1か月後に、転院となり泌尿器科にて左腎瘻造設術施行、さらに1か月後に膀胱尿管新吻合術施行され良好な結果を得た。回腸ストマ閉鎖後、現時点で再発なく外来follow up中です。
直腸癌において、我々が最も注意を払う合併症の1つである尿管損傷は単なる術中損傷だけでなく、感染、炎症、血行障害や尿管通過障害によって形成されるものであるため、術後3週間以内に疑われることが多い。本症例は術後1か月以上経過して遅発性尿管損傷の診断となったが、診断に至るまでに時間を要した。進行病変ではあったが、術中および術後経過に慎重さを要する1例を経験したので報告する。