講演情報
[P12-2]大腸憩室穿孔に対する緊急手術における術式の検討
伊藤 慧, 中川 和也, 験馬 悠介, 本田 祥子, 増田 太郎, 太田 絵美, 山岸 茂 (藤沢市民病院救急外科)
【背景】
大腸憩室穿孔はHinchey分類StageIIIで死亡率が6%、StageIVで35%とされている。術式に関してはハルトマン手術が一般的であるものの、確立された術式がないのが現状である。当院の術式の適応は腸管浮腫の状態や全身状態を考慮して可能な範囲で腸管吻合を試み、吻合時の状況に応じて回腸双孔式人工肛門造設を付加することとしている。
【目的】
当院の大腸憩室穿孔に対する緊急手術症例に関して術式別に比較検討を行い、患者背景や周術期成績に関する特徴を明らかにする。
【方法】
2012年4月から2025年3月までに大腸憩室穿孔に対して緊急で手術を施行した34例を対象とした。術式に関してハルトマン手術群(H群)、腸管切除および吻合+回腸双孔式人工肛門造設群(R+I群)、腸管切除および吻合群(R群)の3群に分けて患者背景や周術期成績に関して、後方視的に比較検討を行った。
【結果】
H群15例(44%)、R+I群12例(35%)、R群7例(21%)であった。
年齢中央値はH群83歳、R+I群73歳、R群53歳と差を認めた(p=0.025)。局在は左側結腸憩室穿孔でH群15例(100%)、R+I群12例(100%)、R群4例(57%)と差を認めた(p=0.006)。糖尿病の有病率はH群5例(30%)、R+I群1例(8.3%)、R群0例(0%)と差を認めた(p=0.031)。血液検査所見に関しては差を認めなかった。手術因子は、手術時間においてH群193分、R+I群264分、R群202分と差を認めた(p=0.008)。出血量、腹腔鏡手術の割合は有意差を認めかった。術後因子は術後在院日数中央値がH群23、R+I群18日、R群11日と差を認めた(p=0.002)。Clavien-Dindo分類Grade3以上の合併症発生率には差を認めなかった。
【結語】
憩室穿孔の緊急手術症例であっても腸管吻合は適応を選べば選択肢の一つとなりうる。左側結腸症例でも若年で糖尿病を有していない症例で腸管吻合が行われており、個々の症例に応じた術式選択が重要と思われた。
大腸憩室穿孔はHinchey分類StageIIIで死亡率が6%、StageIVで35%とされている。術式に関してはハルトマン手術が一般的であるものの、確立された術式がないのが現状である。当院の術式の適応は腸管浮腫の状態や全身状態を考慮して可能な範囲で腸管吻合を試み、吻合時の状況に応じて回腸双孔式人工肛門造設を付加することとしている。
【目的】
当院の大腸憩室穿孔に対する緊急手術症例に関して術式別に比較検討を行い、患者背景や周術期成績に関する特徴を明らかにする。
【方法】
2012年4月から2025年3月までに大腸憩室穿孔に対して緊急で手術を施行した34例を対象とした。術式に関してハルトマン手術群(H群)、腸管切除および吻合+回腸双孔式人工肛門造設群(R+I群)、腸管切除および吻合群(R群)の3群に分けて患者背景や周術期成績に関して、後方視的に比較検討を行った。
【結果】
H群15例(44%)、R+I群12例(35%)、R群7例(21%)であった。
年齢中央値はH群83歳、R+I群73歳、R群53歳と差を認めた(p=0.025)。局在は左側結腸憩室穿孔でH群15例(100%)、R+I群12例(100%)、R群4例(57%)と差を認めた(p=0.006)。糖尿病の有病率はH群5例(30%)、R+I群1例(8.3%)、R群0例(0%)と差を認めた(p=0.031)。血液検査所見に関しては差を認めなかった。手術因子は、手術時間においてH群193分、R+I群264分、R群202分と差を認めた(p=0.008)。出血量、腹腔鏡手術の割合は有意差を認めかった。術後因子は術後在院日数中央値がH群23、R+I群18日、R群11日と差を認めた(p=0.002)。Clavien-Dindo分類Grade3以上の合併症発生率には差を認めなかった。
【結語】
憩室穿孔の緊急手術症例であっても腸管吻合は適応を選べば選択肢の一つとなりうる。左側結腸症例でも若年で糖尿病を有していない症例で腸管吻合が行われており、個々の症例に応じた術式選択が重要と思われた。