講演情報
[P12-4]大腸憩室穿孔に対する腸管切除の是非について
新原 健介, 上神 慎之介, 中島 一記, 吉村 幸祐, 亀田 靖子, 伊藤 林太郎, 土井 寛文, 久原 佑太, 宮田 柾秀 (広島大学大学院医系科学研究科外科学)
【目的】
大腸憩室穿孔においては憩室腸管を切除するか否かの判断が求められる.治療成績から最適な治療戦略を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
2011年1月から2024年12月までに大腸憩室穿孔に対して手術を施行した24例中,緊急もしくは準緊急で手術を行なった17例を対象とした.憩室腸管非切除例をA群(人工肛門造設と腹腔洗浄ドレナージのみ)4例, 切除例をB群(穿孔部切除+人工肛門造設)13例に分類し,患者背景,術後の短期および長期合併症, ストーマ閉鎖率等を後方視的に検討した.
【結果】両群間で,年齢・性別・BMIなどの患者背景に差を認めなかった.全身状態はASA class3以上がA群1例, B群9例と有意差はないもののB群に多い傾向にあった(p=0.25). Modified Hinchey分類のGradeⅡ以上の11例はすべてB群で, GradeⅠbの6例はA群4例, B群2例だった. ステロイド使用はA群の25%に対しB群61.5%とB群に多い傾向にあった(p=0.2941).術後合併症は,CD分類Grade3以上がA群0例,B群3例(p=0.5412)と差を認めず,SSI発生率も有意差を認めなかった(A群1例,B群5例;p=0.8074).手術死亡はB群の1例のみであった.入院期間中央値は両群間で有意差を認めなかった(A群17.5日,B群16日;p=0.3946).ストーマ閉鎖はA群で1例(25%), B群で5例(38.5%)といずれも低率であった.またA群では4例中3例で,経過中に憩室炎の再燃をきたした.
【結語】大腸憩室穿孔で腸管切除を行わない場合,経過中の憩室炎再燃が問題である.一方,穿孔部腸管を切除した群では重症例が多かったにも関わらず,術後合併症の発生率は低く,在院日数の延長も認めなかった. 再燃リスクも回避できることから可能な限り切除を目指すべきと考える.ただし両群ともストーマ閉鎖率が低い点が課題であった.
大腸憩室穿孔においては憩室腸管を切除するか否かの判断が求められる.治療成績から最適な治療戦略を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
2011年1月から2024年12月までに大腸憩室穿孔に対して手術を施行した24例中,緊急もしくは準緊急で手術を行なった17例を対象とした.憩室腸管非切除例をA群(人工肛門造設と腹腔洗浄ドレナージのみ)4例, 切除例をB群(穿孔部切除+人工肛門造設)13例に分類し,患者背景,術後の短期および長期合併症, ストーマ閉鎖率等を後方視的に検討した.
【結果】両群間で,年齢・性別・BMIなどの患者背景に差を認めなかった.全身状態はASA class3以上がA群1例, B群9例と有意差はないもののB群に多い傾向にあった(p=0.25). Modified Hinchey分類のGradeⅡ以上の11例はすべてB群で, GradeⅠbの6例はA群4例, B群2例だった. ステロイド使用はA群の25%に対しB群61.5%とB群に多い傾向にあった(p=0.2941).術後合併症は,CD分類Grade3以上がA群0例,B群3例(p=0.5412)と差を認めず,SSI発生率も有意差を認めなかった(A群1例,B群5例;p=0.8074).手術死亡はB群の1例のみであった.入院期間中央値は両群間で有意差を認めなかった(A群17.5日,B群16日;p=0.3946).ストーマ閉鎖はA群で1例(25%), B群で5例(38.5%)といずれも低率であった.またA群では4例中3例で,経過中に憩室炎の再燃をきたした.
【結語】大腸憩室穿孔で腸管切除を行わない場合,経過中の憩室炎再燃が問題である.一方,穿孔部腸管を切除した群では重症例が多かったにも関わらず,術後合併症の発生率は低く,在院日数の延長も認めなかった. 再燃リスクも回避できることから可能な限り切除を目指すべきと考える.ただし両群ともストーマ閉鎖率が低い点が課題であった.