講演情報

[P12-5]当院における結腸膀胱瘻に対する外科的治療

渡邊 英樹, 千野 俊春, 宮崎 葵, 池亀 昂, 大森 隼人, 古屋 一茂, 羽田 真朗 (山梨県立中央病院消化器外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景】結腸膀胱瘻は膀胱と結腸の間に瘻孔が形成される病態で増加傾向にある。自然閉鎖の可能性は低いとされており手術を要するが、炎症や膿瘍形成により癌手術よりも難易度が高く、時に膀胱側の修復も要する。
【目的】当科で施行した2015年から2025年までの19例について、臨床所見、手術所見および膀胱修復の有無、腹腔鏡手術の利点について検討した.
【結果】男性13例、女性が6例、年齢の中央値は68歳であった。穿通部位は全例でS状結腸または直腸RS部であった。開腹16例、腹腔鏡3例であった。手術時間の中央値は267分、出血量は470ml、術中合併症は0例であった。原因としては大腸憩室炎が13例、癌の穿通など腫瘍関連は6例であった。膀胱部分切除を伴ったのは13例、膀胱筋層または腹膜の縫合のみを行ったのは4例、膀胱側修復無しは2例であった。腫瘍関連では全例開腹手術で膀胱部分切除が施行された。腹腔鏡からの開腹移行は1例で膀胱部分切除が必要となった為であった。
【考察】膀胱部分切除を伴う手術では手術時間が長い傾向があった。憩室穿通症例での膀胱切除には一定の基準が無く、当院では術野と膀胱鏡で明らかな瘻孔形成が認められた場合に施行している。腹腔鏡の拡大視効果は結腸膀胱瘻の正確な把握が可能で、膀胱切除の必要性評価にも有用な可能性がある。