講演情報

[P13-2]当院における直腸脱に対する腹腔鏡下直腸後方固定術の治療成績

戸嶋 俊明, 矢野 雄大, 戸嶋 圭, 村上 友将, 藤田 脩斗, 宇根 悠太, 大谷 朋子, 小西 大輔, 徳毛 誠樹, 吉川 武志, 小林 正彦, 村岡 篤, 國土 泰孝 (香川労災病院外科・消化器外科)
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【背景】直腸脱は高齢女性に多く、高齢化が進む現代では症例数は増加傾向である。近年、直腸脱に対する腹腔鏡下手術の有用性が報告されている。当院では2022年から直腸脱に対する腹腔鏡下直腸後方固定術を開始し、全身麻酔が可能な症例を適応としている。【術式】直腸の授動は岬角から開始し肛門管上縁まで行う。直腸脱を有する患者は一般的に直腸間膜の結合織が疎で進展性が高く、TMEの剥離面を誤認しやすい。そのため神経や直腸、腸管損傷を起こしやすいと思われる。当院では外側は下腹神経から骨盤神経叢を、内側は直腸固有筋膜をメルクマールにし剥離層を一定にするように心がけている。再発を来さないためには肛門挙筋付着部まで十分に直腸を授動することが肝要である。メッシュはポリプロピレン製のものを使用し、直腸に対して縦径は6cm、横径は直腸径の2/3の長さにトリミングし、後方固定後に腹腔内にメッシュが露出せず、また適度な直腸の締め付けによる術後の便失禁の予防を行っている。メッシュは十分に直腸を頭側に挙上した状態で固定することが再発予防に寄与する。仙骨前面にらせん型ステープラーで6か所固定し、直腸壁との固定は1-0の非吸収性マルチフィラメントを用いメッシュの両側を4か所ずつ固定している。【成績】2022年からこれまでに6例の手術を行った。患者は6例とも女性で1例は子宮脱も認め同時に修復した。年齢は中央値86歳(67-98歳)。手術時間は153分(121-165分)、出血量は7(0-40ml)で開腹移行はなかった。術後在院日数は7日(3-16日)で、術後術後合併症や再発は認めていない。また緩下剤を要する便秘症も認めていない。【結語】症例数は少ないが、腹腔鏡下直腸後方固定術は安全に施行でき、再発リスクも低いと思われる。