講演情報
[P13-3]直腸脱に対する腹腔鏡下直腸縫合固定術の経験
堤 伸二, 坂本 義之, 菊池 日菜子, 山﨑 慶介, 赤坂 治枝, 柴田 滋 (弘前総合医療センター消化器外科)
直腸脱は高齢者に好発し,脱出による不快感や疼痛,出血等の症状によりQOLを著しく低下させる.その治療は原則手術であるが,アプローチの方法としては経会陰的と経腹的に大別される.近年では経腹的手術として腹腔鏡下直腸固定術の有用性が報告されている.当院ではこれまで全身麻酔の手術枠の問題や患者背景から経会陰的手術を選択することが多かったが,昨年より再発例や脱出腸管長の長い症例を中心に腹腔鏡下直腸縫合固定術(laparoscopic suture rectopexy; LSR)を導入している.LSRを選択している理由としては,異物を残さずnative tissueのみでの修復が可能あること,固定方法が比較的簡便であることなどが挙げられる.少数ではあるがLSR施行例では,再発は認めておらず術後の排便機能も良好であった.更なる症例の蓄積と長期成績の検討が必要ではあるが,LSRは直腸脱に対する有用な治療選択肢であると考えられた.当院がカバーしている医療圏の人口高齢化や地方中核病院としての役割から今後は直腸脱の症例が増えることが予想される.安全な手術を提供するためにも,技術向上と手術手技の定型化に努めていきたい.