講演情報

[P14-2]当院における超高齢大腸癌患者の短期中期予後に関する検討

伊藤 その, 藤田 孝尚, 冨井 知春, 大島 令子 (東京都立大塚病院消化器外科)
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【背景】
日本全体で高齢化率が上昇している。当院の所在する豊島区は独居高齢者の割合が30%以上と全国平均よりも高い。
【目的】
当院における超高齢大腸癌患者に対する外科的治療の短期中期成績を検討する。
【方法】
2022年4月から2025年3月までに、当院でStage I-III大腸癌に対して根治手術を行った症例を対象とした。年齢80歳以上をO群、80歳未満をC群に分類し、臨床的特徴及び短期中期成績について後方視的に検討した。
【結果】
対象は76例、うちO群は29例(38%)であった。年齢中央値はO群84歳、C群69歳。O群は性別が男性/女性:15/14例、BMI中央値20.7kg/m2で、ASA-PS1/2/3:0/23/6例、原発部位C/A/T/D/S/RS:3/6/6/3/10/1例、深達度T1-3/T4:20/9例、リンパ節転移度N0/N+:21/8例であった。BMIはO群がC群より低かった(p=0.02)。
O群の手術成績は、施行術式が回盲部切除/結腸右半切除/結腸左半切除/ S状結腸切除/結腸部分切除/前方切除/Hartmann:7/7/1/9/2/1/2例、アプローチは腹腔鏡/開腹:22/7例、手術時間中央値352分、出血量中央値3ml、Clavien-Dindo grade3以上の合併症を5例(17.2%)に認め、いずれもC群と差はなかった。術後在院日数中央値は9日で、O群がC群の7日より有意に長かった(p=0.013)。術後補助化学療法が行われた症例は0例と、O群はC群より有意に少なかった(p<0.001)。
中期成績については、観察期間中央値がO群、C群ともに12か月、3年無再発生存率がO群67.9%、C群78.4%(p=0.81)、3年全生存率がO群90.2%、C群75.6%(p=0.24)で、両群に差はなかった。
【結語】
超高齢者で術後在院日数が長かった。リハビリや退院支援のより積極的な早期介入を考慮する必要がある。今後長期予後についても検討していく。