講演情報

[P14-4]80歳以上の高齢者大腸癌患者に対するロボット支援下手術の検討

齋藤 裕人, 山本 大輔, 石田 貴大, 菅野 圭, 上野 雄平, 石林 健一, 久保 陽香, 齊藤 浩志, 道傳 研太, 崎村 祐介, 林 沙貴, 林 憲吾, 松井 亮太, 辻 敏克, 森山 秀樹, 木下 淳, 稲木 紀幸 (金沢大学附属病院消化管外科)
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はじめに:日本は世界で最も高齢化が進んでいる国であり、全国的に見ても高齢者大腸癌患者の手術症例は増加している。ロボット支援下大腸手術は保険収載されたことにより急速に広まっており、高齢者大腸癌患者に対しても行われるようになってきている。これまで高齢者に対する腹腔鏡手術の安全性に関する報告は散見されるが、高齢者に対するロボット手術の安全性に関する報告は少ない。今回我々は,当教室での高齢者大腸癌患者に対するロボット手術症例の治療成績、安全性について検討した。
方法:2022年1月から2025年3月に当院で行った80歳以上の高齢者大腸癌のうち、腹腔鏡手術症例:67例、ロボット手術症例:20例を対象とした。 腹腔鏡手術症例をLaparoscop群(L群),ロボット手術症例をRobot群(R群)に分け,患者背景因子(性別,BMI, ASA-PS score, Stage)、手術関連因子(術式,郭清度,手術時間,出血量)、術後短期成績(術後合併症, 入院期間)に関して比較検討を行った。
結果:患者背景因子において、性別、BMI、癌の局在、ASA-PSに関して有意差はなかった。手術関連因子に関しては,手術時間、出血量に有意差はなく、術式に関しては直腸切断術がR群で多く、回盲部切除術と右半結腸切除術がL群で有意に多かった(P= 0.02)。D2以上の郭清に関しては有意にR群で多かった(P<0.01)。術後短期成績に関して,術後合併症(Clavien-Dindo分類 Grade II以上)と術後入院期間は 2群間で有意差は認めなかった。
結語:R群はL群と比較し、郭清の省略が有意に少なく(p<0.01)、CD grade2以上の術後合併症と術後入院期間に有意な差は認めなかったことから、腹腔鏡手術と同様にロボット手術は80歳以上の高齢者でも安全に施行可能である。