講演情報
[P15-1]85歳以上の高齢者における大腸癌術後合併症に関するリスクファクターの検討
所 忠男1, 川村 純一郎1, 上田 和毅2, 大東 弘治2, 岩本 哲好1, 吉岡 康多1, 村上 克宏1, 家根 由典2, 波江野 真大2, 梅田 一生1 (1.近畿大学病院外科下部消化管部門, 2.近畿大学病院外科内視鏡外科部門)
緒言:高齢者に対する大腸癌手術は増加しており, これらの患者では生理機能の低下や高い併存疾患の保有率から術後合併症リスクが高まることが予想される. 本研究では周術期合併症の軽減の観点から85歳以上の大腸癌手術の術後合併症に関するリスク因子を明らかにする.
方法:2016~2022年に当科で85歳以上の大腸癌に対する根治術を施行した84例. 臨床データ(術前併存疾患, 血液検査, 術中記録, 術後合併症, 術後在院日数; POD)を収集し術後合併症の有無とそのリスク因子について検討した. 術後合併症の評価はClavien–Dindo分類を用い, 合併症のリスク因子として性別, pStage, 術前NLR(neutrophil–lymphocyte rate), SASA (surgical Apgar Score combined ASA–PS), E–PASS (PRS, SSS, CRS)についてロジスティック回帰分析にて評価した.
結果:観察期間は30.6M(IQR;21.5–48.5M), 男性44例, 女性40例で結腸癌(RSを含む); 71例, 直腸癌; 13例. 術前併存疾患は高血圧症・糖尿病・脳梗塞など66例(78.6%)に認められた. 手術アプローチは鏡視下手術が74例(88.1%)に施行され, GradeI以上の術後合併症は26例(30.9%), 内訳はGradeI; 8例, GradeII; 14例, GradeIII; 2例, GradeV; 2例. 全症例のPODは11日(IQR;9–14日)で, 術後合併症あり群(N=26)がなし群(N=58)に比し有意に長かった(17.4 ±7.6日vs. 10.5 ±2.7日, P <0.0001).
術後合併症に対するリスク因子について単変量解析にて有意差を認めたNLR, SASA, CRSについて多変量解析したところ独立したリスク因子はNLR(OR; 2.769, P=0.025)とSASA(OR; 3.845, P=0.039)であった.
考察:超高齢者大腸癌の術後合併症に対するリスク因子は術前NLRとSASAであった. 合併症予防には術前の併存疾患の評価やその管理はもとより, 術中の出血量のコントロールおよび血圧/脈拍の麻酔科管理が重要であることが示唆された.
方法:2016~2022年に当科で85歳以上の大腸癌に対する根治術を施行した84例. 臨床データ(術前併存疾患, 血液検査, 術中記録, 術後合併症, 術後在院日数; POD)を収集し術後合併症の有無とそのリスク因子について検討した. 術後合併症の評価はClavien–Dindo分類を用い, 合併症のリスク因子として性別, pStage, 術前NLR(neutrophil–lymphocyte rate), SASA (surgical Apgar Score combined ASA–PS), E–PASS (PRS, SSS, CRS)についてロジスティック回帰分析にて評価した.
結果:観察期間は30.6M(IQR;21.5–48.5M), 男性44例, 女性40例で結腸癌(RSを含む); 71例, 直腸癌; 13例. 術前併存疾患は高血圧症・糖尿病・脳梗塞など66例(78.6%)に認められた. 手術アプローチは鏡視下手術が74例(88.1%)に施行され, GradeI以上の術後合併症は26例(30.9%), 内訳はGradeI; 8例, GradeII; 14例, GradeIII; 2例, GradeV; 2例. 全症例のPODは11日(IQR;9–14日)で, 術後合併症あり群(N=26)がなし群(N=58)に比し有意に長かった(17.4 ±7.6日vs. 10.5 ±2.7日, P <0.0001).
術後合併症に対するリスク因子について単変量解析にて有意差を認めたNLR, SASA, CRSについて多変量解析したところ独立したリスク因子はNLR(OR; 2.769, P=0.025)とSASA(OR; 3.845, P=0.039)であった.
考察:超高齢者大腸癌の術後合併症に対するリスク因子は術前NLRとSASAであった. 合併症予防には術前の併存疾患の評価やその管理はもとより, 術中の出血量のコントロールおよび血圧/脈拍の麻酔科管理が重要であることが示唆された.