講演情報
[P15-4]術前オーラルフレイルが高齢者大腸癌の術後短期成績に及ぼす影響
中山 快貴1, 吉敷 智和1, 小嶋 幸一郎1, 若松 喬1, 麻生 喜祥1, 飯岡 愛子1, 本多 五奉1, 片岡 功2, 磯部 聡1, 代田 利弥1, 後藤 充希1, 須並 英二1 (1.杏林大学医学部付属病院下部消化管外科, 2.杏林大学医学付属病院杉並病院消化器・一般外科)
【始めに】高齢者の術前オーラルフレイルが術後呼吸器感染症のリスク因子との報告がある。今回、我々はオーラルフレイルが大腸癌手術の周術期に及ぼす影響について注目した。
【目的】高齢者大腸癌患者の術前オーラルフレイル(OF)症例の特徴と手術の短期成績に与える影響を抽出し、その対策を検討する。
【方法】当院で2021年10月〜2023年12月に大腸癌手術を施行した70歳以上の患者を対象とした。術前にオーラルフレイル問診票(OFI-8)で評価を行った。また、歯科医師もしくは歯科衛生士による口腔内環境の評価も行った。OFI-8の評価は8項目を各1点(合計8点)とし、OF低リスク群(≦3点)、OF高リスク群(≧4点)、に分類した。OF症例の特徴を分析し、周術期の短期成績に及ぼす影響を解析した。
【結果】症例数は90例(男性43人、女性47人)で、年齢78.5歳(中央値;70-92)、腫瘍部位は結腸65例、直腸25例であった。OFI-8の内訳は高リスク群50例、低リスク群40例であった。OFと臨床病理学的因子で相関を認めたものは、口腔内環境悪化の有無(相関係数0.193、p=0.031)、日本版フレイル尺度:JCHS(相関係数0.276、p=0.001)、糖尿病(相関係数0.263、p=0.013)であった。術後合併症(CD分類Grade2以上)は17例(18%)であった。合併症の内訳は腸管麻痺7例(7.8%)、尿路感染症2例(2.2%)、腹腔内膿瘍5例(5.6%)、その他3例(3.3%)であった。術後入院期間に関しては、高リスク群は低リスク群と比較して有意に延長していた(13.7日vs17.8日p=0.043)。また、高リスク群は、初回排便までの期間が有意に長かった(3.6日vs 4.4日p=0.017)。
【考察】OFI-8高リスク症例は大腸癌手術において術後合併症が多く発生し、在院日数が有意に延長した。この結果は、OF高リスク症例は口腔内環境の悪化や身体的フレイル、糖尿病に関しても相関を認めており、術後ADL低下や経口摂取への影響を反映している可能性がある。術前オーラルフレイル評価は手術短期成績を予測する上で重要な指標となり得ると考えられた。
【目的】高齢者大腸癌患者の術前オーラルフレイル(OF)症例の特徴と手術の短期成績に与える影響を抽出し、その対策を検討する。
【方法】当院で2021年10月〜2023年12月に大腸癌手術を施行した70歳以上の患者を対象とした。術前にオーラルフレイル問診票(OFI-8)で評価を行った。また、歯科医師もしくは歯科衛生士による口腔内環境の評価も行った。OFI-8の評価は8項目を各1点(合計8点)とし、OF低リスク群(≦3点)、OF高リスク群(≧4点)、に分類した。OF症例の特徴を分析し、周術期の短期成績に及ぼす影響を解析した。
【結果】症例数は90例(男性43人、女性47人)で、年齢78.5歳(中央値;70-92)、腫瘍部位は結腸65例、直腸25例であった。OFI-8の内訳は高リスク群50例、低リスク群40例であった。OFと臨床病理学的因子で相関を認めたものは、口腔内環境悪化の有無(相関係数0.193、p=0.031)、日本版フレイル尺度:JCHS(相関係数0.276、p=0.001)、糖尿病(相関係数0.263、p=0.013)であった。術後合併症(CD分類Grade2以上)は17例(18%)であった。合併症の内訳は腸管麻痺7例(7.8%)、尿路感染症2例(2.2%)、腹腔内膿瘍5例(5.6%)、その他3例(3.3%)であった。術後入院期間に関しては、高リスク群は低リスク群と比較して有意に延長していた(13.7日vs17.8日p=0.043)。また、高リスク群は、初回排便までの期間が有意に長かった(3.6日vs 4.4日p=0.017)。
【考察】OFI-8高リスク症例は大腸癌手術において術後合併症が多く発生し、在院日数が有意に延長した。この結果は、OF高リスク症例は口腔内環境の悪化や身体的フレイル、糖尿病に関しても相関を認めており、術後ADL低下や経口摂取への影響を反映している可能性がある。術前オーラルフレイル評価は手術短期成績を予測する上で重要な指標となり得ると考えられた。