講演情報
[P15-6]高齢者に対してクリニカルパスは安全に運用できるか
清住 雄希, 大村 リョウタ, 松石 梢, 堀之内 誠, 遊佐 俊彦, 八木 泰佑, 甲斐田 剛圭, 清水 健次, 山村 謙介, 今井 克憲 (済生会熊本病院外科)
【背景】
我が国は高齢化率29.3%、75歳以上の人口16.8%と超高齢社会であり、その中で大腸癌は罹患率1位、死亡率2位と高頻度のがん種である。高齢者に対して大腸癌手術を行う機会が増加している一方で、入院期間の短縮に向けた政策が推進されている。当科では、DPC(Diagnosis Procedure Combination (DPC制度;DPC/PDPS)に沿い、最短でI期の退院を目指したクリニカルパスを策定しており、2021年1月から2023年3月迄の期間は8日、2023年4月から2024年8月迄の期間は7日を目標に設定している。
一方、患者の多くは高齢者であり、周術期管理の安全性については慎重に検証する必要がある。そこで、今回、クリニカルパスで運用した症例の短期成績を解析し、高齢者に対する周術期管理の安全性について評価を行った。
【方法】2021年1月から2024年8月の期間に結腸癌に対する根治手術を実施した75歳以上の患者171名を対象とし、短期成績を検討した。
【結果】
75歳以上の患者は171名。男性86名、女性85名。平均年齢は82.2歳。
入院期間別の退院数では、DPC I期が52名(30.4%)、II期が88名(51.5%)であった。Clavien-Dindo分類III以上の合併症は6名(縫合不全3名:1.8%、吻合部出血1名;0.6%、腹腔内膿瘍1名;0.6%、排尿障害1名;0.6%)に認めた。また、退院後の再入院率は4名(2.4%)で、イレウスを2例、縫合不全を1例、正常血糖ケトアシドーシスを1例に認めた。75歳未満の患者と比較し、合併症発生率や再入院率に有意差は認めなかった。75歳以上の高齢者において、クリニカルパス改定前後の術後入院日数を比較すると、9.5±5.9 vs 8.3±5.9, p<0.01と有意に短縮していた。
【まとめ】
結腸癌の周術期管理におけるクリニカルパスは高齢者に対して安全に運用できており、更に入院期間短縮に寄与していると考えられる。
我が国は高齢化率29.3%、75歳以上の人口16.8%と超高齢社会であり、その中で大腸癌は罹患率1位、死亡率2位と高頻度のがん種である。高齢者に対して大腸癌手術を行う機会が増加している一方で、入院期間の短縮に向けた政策が推進されている。当科では、DPC(Diagnosis Procedure Combination (DPC制度;DPC/PDPS)に沿い、最短でI期の退院を目指したクリニカルパスを策定しており、2021年1月から2023年3月迄の期間は8日、2023年4月から2024年8月迄の期間は7日を目標に設定している。
一方、患者の多くは高齢者であり、周術期管理の安全性については慎重に検証する必要がある。そこで、今回、クリニカルパスで運用した症例の短期成績を解析し、高齢者に対する周術期管理の安全性について評価を行った。
【方法】2021年1月から2024年8月の期間に結腸癌に対する根治手術を実施した75歳以上の患者171名を対象とし、短期成績を検討した。
【結果】
75歳以上の患者は171名。男性86名、女性85名。平均年齢は82.2歳。
入院期間別の退院数では、DPC I期が52名(30.4%)、II期が88名(51.5%)であった。Clavien-Dindo分類III以上の合併症は6名(縫合不全3名:1.8%、吻合部出血1名;0.6%、腹腔内膿瘍1名;0.6%、排尿障害1名;0.6%)に認めた。また、退院後の再入院率は4名(2.4%)で、イレウスを2例、縫合不全を1例、正常血糖ケトアシドーシスを1例に認めた。75歳未満の患者と比較し、合併症発生率や再入院率に有意差は認めなかった。75歳以上の高齢者において、クリニカルパス改定前後の術後入院日数を比較すると、9.5±5.9 vs 8.3±5.9, p<0.01と有意に短縮していた。
【まとめ】
結腸癌の周術期管理におけるクリニカルパスは高齢者に対して安全に運用できており、更に入院期間短縮に寄与していると考えられる。