講演情報

[P16-3]75歳以上高齢者におけるpStageⅢ大腸癌に対する術後補助化学療法の検討

筒井 敦子, 萩原 千恵, 大友 直樹, 松村 光, 長谷 泰聖, 原島 諒, 八木 雄介, 里見 龍太郎, 勅使河原 優, 中尾 篤志, 贄 裕亮, 若林 大雅, 岡本 信彦, 大村 健二, 若林 剛 (上尾中央総合病院外科)
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【はじめに】本邦の大腸癌診療ガイドラインにおいて、70歳以上のpStageⅢ大腸癌に対しても、術後補助化学療法が推奨されているが、未だ十分なエビデンスがあると言えず、各施設や担当医師の判断で、適応が決定されている。
【目的】75歳以上高齢者におけるpStageⅢ大腸癌に対する術後補助化学療法について、その妥当性を検討する。
【対象・方法】2017年1月から2022年4月までに手術を施行した75歳以上大腸癌症例のうちpStageⅢ98例について検討を行った。
【結果】年齢は75-79歳50例、80-84歳26例、85-89歳16例、90歳以上6例であった。pStageはⅢa 11例、Ⅲb 62例、Ⅲc 25例であった。術後補助化学療法を施行したのは32例(32.6%)であった。施行しない理由としては、高齢、PS低下、認知症、併存疾患、また本人の希望も多く認められた。完遂が26例、副作用により途中中止は6例であった。レジメンはOX併用療法が16例で、FP単独療法が16例であった。OX投与途中で末梢神経障害によりFP単独療法としたものは4例であった。中止の理由としては3例はGrade2,3の副作用、また3例は投与初期に体調不良となり本人希望によるものであった。観察期間の中央値は41.5(1-95)カ月で、3年無再発生存率は補助化学療法完遂群(Adj群)84.6 % vs手術単独/補助化学療法途中中止群(S群)68.1%でAdj群で有意な傾向があった(p=0.0587).3年生存率はAdj群92.3 % vs S群77.3%でAdj群で有意な傾向があった(p=0.0057).OX併用群とFP単独群ではRFS,OS共に有意差は認められなかった(p=0.87,P=0.96)。
【結語】75歳以上高齢者において、術後補助化学療法は有意差は認められなったものの、長期予後を改善する可能性が示唆された。OX併用は上乗せ効果を認めなかった。
高齢者に対する補助化学療法は、基礎疾患を含めた全身状態と治療効果を十分に検討した上で、適応を判断する必要があると考えらえた。